WBO世界フェザー級王座決定戦 アイザック・ドグボエ対ロベイシー・ラミレス

  • 2023/04/21

2階級制覇or 五輪覇者が初戴冠か
オッズは13対2でラミレス有利

 スーパー・フェザー級に転向したエマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)が返上して空位になった王座の決定戦。1位のアイザック・ドグボエ(28=ガーナ/イギリス)はスーパー・バンタム級に続く2階級制覇を狙ってリングに上がり、五輪連覇の実績を持つ2位のロベイシー・ラミレス(29=キューバ)はプロ初の戴冠がかかっている。オッズは13対2、このところ勢いを増しているラミレス有利と出ている。

ふたりの世界挑戦経験者に競り勝っているドグボエ

 ドグボエは2012年ロンドン五輪にガーナ代表として出場したが、清水聡(大橋)にポイント負けを喫しバンタム級初戦で敗退。その1年後にスイスでプロデビューした。フェザー級のWBOアフリカ王座やWBOオリエンタル王座、スーパー・バンタム級のWBOインターナショナル王座などを獲得して世界上位に進出し、2018年1月にWBO暫定世界スーパー・バンタム級王座を獲得。次戦で正規王者のジェシー・マグダレノ(アメリカ)を11回KOで下して団体内の王座統一を果たした。2度目の防衛戦では大竹秀典(金子)を1回TKOで退けるなど長期政権を予想させる活躍ぶりだった。
 ところがV3で当時は無名に近かったエマヌエル・ナバレッテに12回判定負けを喫して王座を失った。長期政権どころか在位は1年に満たなかった。5ヵ月後の再戦では2度のダウンを喫するなど初戦以上に差をつけられ12回TKO負け。これを機にフェザー級に転向した。
 転級初戦こそ8回TKO勝ちを収めたが、以後の3試合は際どい判定勝ちが続いている。とはいえクリストファー・ディアス(プエルトリコ)、ジョエト・ゴンザレス(アメリカ)ら世界挑戦経験を持つ実力者を相手に競り勝っているのだから、ここはドグボエの勝負強さを称えるべきなのかもしれない。

初陣黒星から立て直したラミレス

 ラミレスはアマチュア時代に2012年ロンドン五輪でフライ級、2016年リオデジャネイロ五輪ではバンタム級で金メダルを獲得。さらに2011年と2013年の世界選手権にも出場している。プロ転向に際し、ラミレスと契約を交わしたトップランク社は「ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)のようなスター選手になる男」としてPRに力を入れたものだ。ところが、その注目の初陣でラミレスは8戦4勝(2KO)2敗2分の相手に4回判定負けを喫してしまう。試合開始早々、左フックを浴びて喫したダウンが致命的な失点となった。
 マイナスからのスタートとなったが、ラミレスは徐々に巻き返していく。2021年10月の初10回戦でフェザー級のNABFジュニア北米王座を獲得し、次戦のイギリス遠征ではエリック・ドノバン(アイルランド=現EBU欧州連合王者)に3回TKO勝ち。さらに2022年6月、エイブラハム・ノバ(アメリカ)との世界ランカー対決では豪快な左ストレート一発で5回KO勝ちを収めた。4ヵ月後、元世界ランカーのホセ・マティアス・ロメロ(アルゼンチン)にも9回TKOで圧勝し、今回の王座決定戦出場のチャンスを得た。プロの水に慣れた最近は本領を発揮している印象だ。

軌道が異なるラミレスの左が決定打か

 13対2のオッズが示すようにラミレス有利は不動といえる。身長165センチ/リーチ173センチとラミレスは決して大柄ではないが、ドグボエの163センチ/163センチに対して体格面でもアドバンテージがある。そのラミレスがサウスポーから左ストレート、左右フックをテンポよく打ち込んで主導権を握る可能性が高い。常に全力ファイトをするドグボエだが、接近しないことには仕事ができない。それをラミレスが容易に許すとは思えず、ドグボエは厳しい戦いを強いられることになりそうだ。内側から打ち込む左と外から巻き込むように放つラミレスの左に反応が遅れるようだと中盤から終盤でレフェリー・ストップというシーンがあるかもしれない。

<フェザー級トップ戦線の現状>

WBA
:マウリシオ・ララ(メキシコ)
WBC
:レイ・バルガス(メキシコ)
暫定
:ブランドン・フィゲロア(アメリカ)
IBF
:ルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)
WBO
:空位

 この1年で4団体すべての王座の持ち主が変わっており、混戦状態が続いている。WBAは今年2月、リー・ウッド(34=イギリス)からマウリシオ・ララ(25=メキシコ)に持ち主が変わったばかりだが、両者によるダイレクト・リマッチが5月27日にイギリスで行われることになっている。初戦で逆転の7回TKO勝ちを収めたララの返り討ちの可能性が高いとみる。
 同じ5月27日、アイルランドのベルファストではIBF王者のルイス・アルベルト・ロペス(29=メキシコ)は、人気者のマイケル・コンラン(31=イギリス/アイルランド)を相手に初防衛戦に臨む。ロペスは昨年12月、ジョシュ・ウォーリントン(32=イギリス)に12回判定勝ちを収めて戴冠を果たしており、2試合連続のヨーロッパ遠征となる。実力的にはわずかにロペスが上かと思うが、コンランの地の利を考えると五分と五分か。
 WBC王者のレイ・バルガス(32=メキシコ)は今年2月、王座を保持したまま1階級上のWBC世界スーパー・フェザー級王座決定戦に出場したが、オシャキー・フォスター(アメリカ)に完敗(12回判定負け)。バルガスは、3月に前WBC王者のマーク・マグサヨ(27=フィリピン)に勝って暫定王座を獲得したオマール・フィゲロア(26=アメリカ)との団体内統一戦を課されているが、応じるかどうか微妙だ。
 WBO王座はエマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)が返上したため空位になっている。今回のアイザック・ドグボエ(28=ガーナ/イギリス)対ロベイシー・ラミレス(29=キューバ)の勝者がベルトを獲得することになる。
 実績に加え勢いがあるのはWBC暫定王者のフィゲロアで、WBA王者のララが続く。さらにバルガス、ロペスのメキシコ勢、そしてウッド、ウォーリントン、コンランらヨーロッパ勢、そしてキコ・マルチネス(37=スペイン)に勝ってIBFの指名挑戦権を手にした阿部麗也(30=KG大和)、さらに3度目の世界挑戦を狙うジョエト・ゴンザレス(29=アメリカ)らが団子状態となっている。




フェザー級10回戦 ジョエト・ゴンザレス対エンリケ・ビバス

3度目の挑戦目指すゴンザレス
前座でアピールできるか

 WBC世界フェザー級4位、WBO9位、WBA10位にランクされるジョエト・ゴンザレス(29=アメリカ)が、攻撃型のエンリケ・ビバス(28=メキシコ)と10回戦を行う。ゴンザレスは昨年7月にWBC挑戦者決定戦でドグボエに10回判定で惜敗しており、これが再起戦となる。ドグボエ対ラミレスの前座でゴンザレスは存在感を示すことができるか。
 アマチュア時代にジャーボンテイ・デービス(アメリカ=現WBA世界ライト級王者)に2勝1敗と勝ち越しているゴンザレスは、11年のプロ生活で28戦25勝(15KO)3敗の戦績を残している。敗れたのは2019年10月のシャクール・スティーブンソン(アメリカ)戦、2021年10月のエマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)戦、そして先のドグボエ戦の三つだ。スティーブンソン戦、ナバレッテ戦は世界戦で、判定まで持ち込みはしたものの2試合ともポイントで大差をつけられた。ワンツーや上下に打ち分ける左など攻撃は多彩だが、決め手に欠ける傾向がある。ランカーとしては申し分ないが、世界王者になるためには総体的なレベルアップが必要だ。
 ビバスは9年のキャリアで24戦22勝(11KO)2敗の戦績を残している。勝てなかったのはルーベン・ビリャ(アメリカ)とエデュアルド・バエス(メキシコ)のふたりだけだが、ともにのちに世界挑戦している実力者だけに仕方ないだろう。両グローブを高めに置いた構えで前に出て中近距離で左右フック、アッパーを上下に打ち分ける好戦型だが、スピードやパワーは平均の域内といえる。
 両者とも打撃戦を好むタイプだけに序盤から歯車は噛み合いそうだ。長い距離から右ストレートを打てるゴンザレスがスピードでも上回ると思われる。そこに優位性が認められるが、絶対的なものとはいえない。ビバスのがんばり次第では接戦になる可能性もある。

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