WBC暫定世界スーパー・ミドル級タイトルマッチ デビッド・ベナビデス対ケイレブ・プラント

  • 2023/03/17

KO率88%の強打者 vs 万能型の前王者
オッズは5対2でベナビデス有利

 26戦全勝(23KO)のWBC暫定世界スーパー・ミドル級王者、デビッド・ベナビデス(26=アメリカ)が、前IBF同級王者のケイレブ・プラント(30=アメリカ)を迎えて初防衛戦に臨む。88パーセント超のKO率を誇るベナビデス、ワンパンチの切れもある万能型のプラント。オッズは5対2で暫定王者有利と出ているが、逆の結果も考えられるカードだ。

アマ15戦+プロ26戦 計41戦全勝のベナビデス

 ベナビデスは身長188センチ、リーチ189センチと体格に恵まれているが、そのアドバンテージを封印して自ら相手に接近を図り、中近距離で左右のフック、アッパー系のパンチを続けざまに浴びせる戦闘スタイルで知られる。ベナビデス自身にも大きなリスクが生じる戦い方だが、相手にとっては大きな壁が迫るような感じになるのだろうか。
 いまのところアマチュアで15戦、10年のプロキャリアで26戦、計41試合を行い敗北は一度もないが、リング外では何度か問題を起こしてきた。最初は2018年9月のWBC王者時代のことで、ドーピング検査で陽性反応が出たため休養王者に格下げされたのだ。戦線復帰して正王者のアンソニー・ディレル(アメリカ)に勝って元の地位を取り戻したものの、今度は次戦で体重オーバーの失態を犯してしまった。その時点で王座は剥奪され、無冠に。それでもプロモーターやファンから見放されなかったのは、ベナビデスの試合がエキサイティングでおもしろいからなのだろう。その後、4団体王者のサウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)がクルーザー級で世界挑戦するプランが浮上した際に暫定王座の新設が決まり、ベナビデスは決定戦で勝って3度目の戴冠を果たしている。

元王者ディレルをワンパンチでKO

 プラントはアマチュア時代、2011年の全米ゴールデングローブ大会で優勝してロンドン五輪の補欠になるなど117戦(97勝20敗)を経験。2014年5月に21歳でプロに転向した。3年後に世界15傑入りを果たし、2019年1月にはホセ・ウスカテギ(ベネズエラ)を下してIBF世界スーパー・ミドル級王座を獲得。この王座は3度防衛して評価を高めた。その流れでアルバレスとの4団体王座統一戦に臨んだわけだが、11回TKOで敗れた。これがプロ23戦で唯一の敗北だ(22勝13KO1敗)。
 昨年10月の再起戦では元王者のアンソニー・ディレルと対戦。毎回のようにポイントを奪ったプラントは9回、左フック一発で鮮やかなKO勝ちを収めて実力を誇示した。この勝利でWBC王座への挑戦権を手にしたという経緯がある。
 プラントも身長185センチ、リーチ188センチと恵まれた体格の持ち主で、こちらはその優位性を生かして速く伸びのある左ジャブを飛ばし、回転の速いコンビネーションで攻め立てることが多い。パワーで物足りなさが感じられたが、そのイメージはディレル戦のワンパンチKOで払拭された印象だ。

馬力で押し込むベナビデス スピードとスキルで対抗のプラント

 馬力型のベナビデスが前に出ながら執拗な左右のパンチで攻め立て、プラントがスピードと足をつかいながら折々で応戦する展開が予想される。ひとつの目安として、相手をロープやコーナーに押し込むシーンが多くなればベナビデスのペース、逆に暫定王者がいなされてバランスを崩したりパンチの多くが空を切ったりする場面が目立てばプラントのペースといえる。
 スピードやスキルなど個々の戦力ではプラントの方が上回る部分が多いと思われる。その利を生かして賢く効率的に戦ってポイントをかき集めて判定勝ちも十分に考えられる。ただ、ベナビデスの圧力を受け続けた場合、どこまで抗うことができるかという疑問はついてまわる。仮にベナビデスが途中までポイントでリードを許していたとしても中盤から終盤で清算してしまう可能性が高いとみる。

<TALE OF THE TAPE 両選手のデータ比較表>

  • 名前

    ベナビデス

    プラント

  • 生年月日/年齢

    1996年12月17日/26歳

    1992年7月8日/30歳

  • 出身地

    フェニックス(アメリカ アリゾナ州)

    ナッシュビル(アメリカ テネシー州)

  • アマチュア実績

    11年全米ゴールデングローブ大会優勝

  • アマチュア戦績

    15戦全勝

    117戦97勝20敗

  • プロデビュー

    2013年8月

    2014年5月

  • 獲得王座

    WBC(2度)、WBC暫定S・ミドル級

    IBF S・ミドル級

  • 戦績

    26戦全勝(23KO)

    23戦22勝(13KO)1敗

  • KO率

    88%

    57%

  • 世界戦

    5戦全勝(3KO)
    ※体重超過の試合含む

    5戦4勝(2KO)1敗

  • 身長/リーチ

    188センチ/189センチ

    185センチ/188センチ

  • 戦闘スタイル

    右ファイター型

    右ボクサー型

  • ニックネーム

    「RED FLAG」

    「スウィートハンズ」

  • トレーナー

    ホセ・ベナビデス・シニア(父親)

    リッチー・プラント(父親)
    ジャスティン・ガンバー

<スーパー・ミドル級トップ戦線の現状>

WBA S
:サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)
:デビッド・モレル(キューバ)
WBC
:サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)
暫定
:デビッド・ベナビデス(アメリカ)
IBF
:サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)
WBO
:サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)
暫定
:ジョン・ライダー(イギリス)

 2021年11月にケイレブ・プラント(30=アメリカ)に11回TKO勝ちを収めて4団体王座の統一を果たしたサウル・カネロ・アルバレス(32=メキシコ)が、この階級の主だ。次戦でドミトリー・ビボル(キルギス/ロシア)の持つWBA世界ライト・ヘビー級王座に挑んで判定負けを喫したが、昨年9月にはWBA、IBF世界ミドル級王者だったゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)に12回判定勝ちを収めて初防衛を果たすとともに再起に成功した。2018年以降、体重を上げ下げしているが、76.2キロのスーパー・ミドル級が現在のベストウェートといっていいだろう。
 そのアルバレスは5月6日(日本時間7日)、メキシコ・ハリスコ州グアダラハラでWBO暫定王者のジョン・ライダー(34=イギリス)を迎え、2011年11月以来の故国凱旋試合を予定している。ライダーは「ゴリラ」というニックネームを持つサウスポーのファイターだが、アルバレスを脅かす戦力を備えているとは思えない。アルバレスが圧倒したすえKO勝ちを収めそうだ。
 それ以上に興味深い試合が今回のデビッド・ベナビデス(26=アメリカ)対ケイレブ・プラント(30=アメリカ)のWBC暫定タイトルマッチであろう。特にベナビデスが勝った場合はアルバレスとの頂上対決が期待されることになるはずだ。
 このほか3階級制覇に照準を合わせてきたデメトリアス・アンドラーデ(35=アメリカ)、かつて16連続1ラウンドKO勝ちを記録したエドガー・ベルランガ(25=アメリカ)らが控えている。

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2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、PG-12指定(12歳未満は保護者同伴が望ましい)されたもの
劇場公開時、PG12指定(小学生以下は助言・指導が必要)されたもの
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R-15指定(15歳未満鑑賞不可)されたもの
R-15指定に相当する場面があると思われるもの
劇場公開時、R15+指定(15歳以上鑑賞可)されたもの
R15+指定に相当する場面があると思われるもの
1998年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R指定(一般映画制限付き)とされたもの