WBC世界スーパー・ライト級挑戦者決定戦 ホセ・ラミレス対リチャード・コミー

  • 2023/04/07

元王者同士のサバイバルマッチ
攻撃力で勝るラミレスが7対1で有利

 WBC世界スーパー・ライト級王座への挑戦権をかけて元WBC、WBO同級王者のホセ・ラミレス(30=アメリカ)と、元IBF世界ライト級王者のリチャード・コミー(36=ガーナ)が拳を交える。「JAGUAR(ジャガー)」というニックネームを持つ攻撃型のラミレスが王座奪還への道を開くのか、それともバランスのとれた戦力を備えたコミーが2階級制覇の布石を打つのか。オッズは7対1でラミレス有利と出ているが、ハイレベルの攻防が期待される。

ロンドン五輪出場 ⇒ プロの世界王者へ

 2012年ロンドン五輪に出場した経験を持つラミレスは2018年3月にWBC世界スーパー・ライト級王座を獲得し、翌年7月にはWBO王者のモーリス・フッカー(アメリカ)を6回TKOで下して2団体の王座を統一。しかし、一昨年5月の4団体王座統一戦ではWBA、IBF王者のジョシュ・テイラー(イギリス)に判定負けを喫した。ジャッジの採点は三者とも114対112と接近していたが、6回と7回に喫したダウンの印象が強く残る試合だった。
 再起戦は昨年3月のこと。元世界2階級制覇王者のホセ・ペドラサ(プエルトリコ)に12回判定勝ちを収めている。決して楽な試合ではなかったが、勝負どころの最終盤を確実に押さえるなど成長のあとも見せた。現在はWBO4位、WBAとWBCで5位、IBF7位と好位置につけている。

ガーナ出身のコミー 2戦勝利なく背水の陣

 2011年2月にガーナでプロデビューしたコミーは翌年からイギリスやデンマーク、南アフリカ共和国、アメリカ、ドイツを転戦しながら複数の地域王座を獲得。2016年9月のIBF世界ライト級王座決定戦でロバート・イースター(アメリカ)に、また2ヵ月半後の挑戦者決定戦ではデニス・シャフィコフ(ロシア)に非情な判定負けを喫したが、2019年2月に決定戦を制してIBF王者になった。体重オーバーのレイムンド・ベルトラン(メキシコ)に懲罰(8回KO)を与えて初防衛を果たした時点では、ガーナの大先輩、アズマー・ネルソン(元世界2階級制覇王者)級のスター選手になるかと期待を集めたものだ。
 しかし、頭角を現してきたテオフィモ・ロペス(アメリカ)に2回TKOで敗れて王座を失い、2021年にはワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)にも完敗、トップ戦線から大きく後退してしまった。それを機にスーパー・ライト級に転向したが、ペドラサとの再起戦で引き分けに終わり、あとがない状況といえる。現在はWBO7位、WBC9位、IBF12位にランクされている。

ラミレスが攻めコミーが応戦という展開か

 身長178センチ/リーチ183センチのラミレスは積極的に相手にアプローチしながら執拗な連打で攻め立てるファイター型で、耐久力にも優れている。12ラウンドを6度もフルに戦いきっており長丁場の戦い方も心得ている。
 対するコミーは173センチ/180センチと体格では若干劣るが、伸びのある左ジャブと遠くから打ち込む右ストレートに定評がある。ただ、防御に関しては立ち位置を変えないままブロックとスウェーに頼ることが多いため付け込まれることもある。ロペス戦とロマチェンコ戦ではダウンを喫している。
 ラミレスが前に出ながら攻め、コミーが応戦する展開になりそうだ。コミーが左ジャブと右ストレートでラミレスの接近を阻むことができれば互角に戦えそうだが、易々と接近を許すようならば厳しい戦いを覚悟せねばなるまい。中盤から終盤にかけてラミレスの連打がコミーを捉えそうだ。

<スーパー・ライト級トップ戦線の現状>

WBA
:アルベルト・プエジョ(ドミニカ共和国)
WBC
:レジス・プログレイス(アメリカ)
IBF
:スブリエル・マティアス(プエルトリコ)
WBO
:ジョシュ・テイラー(イギリス)

 ジョシュ・テイラー(32=イギリス)が4団体の王座を統一してから約2年。その主役がWBO王座だけ残し3本のベルトを放棄したことで再びスーパー・ライト級は混戦状態になった。テイラーはテオフィモ・ロペス(25=アメリカ)との防衛戦が決まっているが、決して楽な試合にはならないだろう。
 興味深いのはトップ戦線を賑わしている主力メンバーが2~3年前と大きくは変わらない点だ。WBC王座には元WBA王者のレジス・プログレイス(34=アメリカ)が返り咲き、その王座への挑戦権をかけて今回、ホセ・ラミレス(30=アメリカ)がリチャード・コミー(36=ガーナ)と拳を交える。テイラーはプログレイスとラミレスに勝ってはいるが、この3人の実力差はいまも紙一重といえそうだ。アルベルト・プエジョ(28=ドミニカ共和国)は当時はWBA暫定王者だったが、現在は正王者となっている。5月にローランド・ロメロ(27=アメリカ)との初防衛戦が決まっている。
 IBF王者のスブリエル・マティアス(30=プエルトリコ)は20戦19勝(19KO)1敗の戦績を残しているスラッガーで、今年2月の決定戦を制して戴冠を果たした。
 2年前にはトップ15に名前のなかったゲイリー・アントゥアン・ラッセル(26=アメリカ)がWBC2位、WBA5位に顔を出してきており、王者たちを脅かす存在になりつつある。16戦全KO勝ちのサウスポーは今年か来年には世界戦の舞台に上がりそうだ。
 28戦全勝(10KO)のアーノルド・バルボサ(31=アメリカ)も勢いを増している。
 このところ8連続KO勝ちで戦績を22戦全勝(17KO)に伸ばしている平岡アンディ(26=大橋)もホープのひとりだ。




スーパー・ライト級10回戦 レイモンド・ムラタラ対ウンベルト・ガリンド

「危険な男」ムラタラが初10回戦
デビューからの連勝を17に伸ばせるか

 2016年9月のプロデビューから16連勝(13KO)を収めているレイモンド・ムラタラ(26=アメリカ)が、17戦14勝(11KO)2敗1分の戦績を残しているウンベルト・ガリンド(23=アメリカ)と対戦する。WBC世界ライト級33位にランクされるムラタラにとっては初の10回戦となる。
 ムラタラは相手に圧力をかけながら距離を潰し、左右のフックにアッパーを交えた上下のコンビネーションで攻め落としてしまうことが多い。カウンターのタイミングをつかんでいるのも強みだ。接近戦の際には構えを左に変えて戦うこともある。試合は常にエキサイティングで、「DANGER(デインジャー=危険な男)」のニックネームがついている。
 相手のガリンドも65パーセントのKO率を残しているが、その多くは負け越している選手との試合で記録したものだ。打ち下ろしの右や左フックはまずまずの破壊力がありそうだが、攻防が単調になりがちな傾向がある。
 出入りのスピードやパンチ力、コンビネーションの回転力など多くの部分で勝っているムラタラが序盤から主導権を握るようならば勝負は早いかもしれない。ただし、ガリンドもパンチ力があるだけに十分な注意が必要だろう。

スーパー・バンタム級4回戦 村田昴対ホセ・ネグレテ

 村田はインターハイや選抜大会、国体で優勝したほか第2回ユース五輪で3位に入るなどアマチュアで80戦(68勝15KO12敗)を経験後、2021年6月にアメリカでプロデビューした。後楽園ホールでの2戦目は4回終了TKO、3戦目も2回KOで終わらせており、目下3連続KO中だ。スピードとパンチの切れが売りのサウスポーで、この試合が約2年ぶり2度目のアメリカのリングとなる。
 相手のホセ・ネグレテ(24=アメリカ)は3戦2勝(2KO)1敗の戦績を残している24歳。直近の試合は昨年10月、デオンテイ・ワイルダー(アメリカ)対ロバート・ヘレニウス(スウェーデン/フィンランド)の前座に出場したもので、このときは4回判定負けを喫している。
 ホセ・ラミレス対リチャード・コミーの注目ファイトのアンダーカードで村田がどんなパフォーマンスを見せるのか要注目だ。

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