ライト級12回戦 ジャーボンテイ・デービス対ライアン・ガルシア

  • 2023/04/14

KO決着必至のハードパンチャー対決
オッズは9対4でデービス有利

 3階級制覇の実績を持つWBA世界ライト級王者、ジャーボンテイ・デービス(28=アメリカ)と、アメリカの西海岸を中心に人気を集めるスター選手、元WBC同級暫定王者のライアン・ガルシア(24=アメリカ)が拳を交える。試合はライト級リミット1ポンド(約453グラム)超過の136ポンド(約61.6キロ)契約12回戦として挙行される。世界王座はかかっていないが、ライト級トップ戦線の行方を左右する注目の一戦だ。

3階級で12度の世界戦を経験しているデービス

 これまでに両者の対戦は何度も具体化しかけては消滅してきた。ともにスーパー・フェザー級(約58.9キロ以下)、ライト級(約61.2キロ以下)、スーパー・ライト級(63.5キロ以下)と体重を上げながら戦ってきたが、すれ違いが続いていた。今回も一度は1月に対戦が内定と伝えられたが実現せず、4月の日程が出てからも開催日を巡って情報が錯綜していた。体重の問題に加え放送・配信を含めたビジネス上の摩擦、さらにデービスがリング外のトラブルを抱えていることなどが障壁になっていたのだ。
 結果として、デービスの裁判は試合後になり、体重は136ポンド契約、22日にラスベガス開催で落ち着いたというわけだ。
 デービスはサウスポーの攻撃型で、鋭く踏み込んで相手の懐で爆発するタイプといえる。10年のキャリアで28戦全勝(26KO)の戦績を残しており、そのうち世界戦が12試合(自身が体重超過した試合を含む)と経験値も高い。身長166センチ、リーチ171センチとライト級では小柄で、そのためか最近の試合では序盤を慎重に戦い、中盤あたりからペースアップするケースが目立つ。スピードと強打にスポットが当たることが多いが、一方で優れた動物的臭覚も持っているのだろう。

体格と強打に恵まれた24歳のガルシア

 ガルシアは2016年6月に17歳でメキシコでプロデビューし、18歳の誕生日を待って主戦地をアメリカに移した。元世界6階級制覇王者、オスカー・デラ・ホーヤ(アメリカ)の秘蔵っ子として注目されたが、痛烈なKOを連発して本格派としても期待を集める存在になっていった。2021年1月、ヘイニーが肩の故障で戦線離脱した際に設けられたWBCの暫定王座決定戦でルーク・キャンベル(イギリス)に7回TKO勝ち、戴冠を果たした。しかし、これで満足感が湧いたのか、はたまた重圧がのしかかってきたのか22歳の若者は精神的バランスを崩してしまう。1年3ヵ月の休養後、世界ランカーを破って復帰すると、3ヵ月後には暫定王者時代に対戦する予定だった元世界王者のハビエル・フォルトゥナ(ドミニカ共和国)と対戦。この難敵から3度のダウンを奪い6回KOで一蹴した。
 戦績は23戦全勝(19KO)。デービスの93パーセントには及ばないが、ガルシアも83パーセントと高いKO率を誇る。身長、リーチとも178センチと体格に恵まれ、遠くから打ち込む右ストレート、タイミング抜群の左フックでしばしば芸術的なダウン、KOを生み出してきた。

瞬き厳禁! 痛烈なKOで決着か

 試合まで2週間に迫った時点でのオッズは9対4、デービス有利と出ている。12度の世界戦、3階級制覇、様々なタイプの強豪との対戦経験などがデービスの優位性の根拠といえる。ガルシアがキャンベル戦でサウスポーの左をアゴに浴びて不覚のダウンを喫していることもデービス有利の材料になっていそうだ。そんな予想どおり、デービスが飛び込みながら左ストレート、右フックを叩きつけてライバルをキャンバスに沈めてしまう可能性は十分にある。オッズを見るかぎり、それが順当な結果といえるのかもしれない。
 その一方、ガルシアが左ジャブで巧みにコントロールしたうえで右の長距離砲でアゴを打ち抜く、あるいはタイミングのいい左フックをアゴに当ててデービスを倒してしまう可能性も捨てきれないものがある。
 全勝の強打者同士のカードだけに一瞬たりとも目の離せない試合になることは間違いない。痛烈なKOで決着をつけるのはデービスか、それともガルシアか。

<ジャーボンテイ・デービスの全世界戦>

17年 1月
ホセ・ペドラサ 〇7回TKO IBF SFe級王座獲得
17年 5月
リアム・ウォルシュ 〇3回TKO 防衛①
17年 8月
フランシスコ・フォンセカ 〇8回KO ※自身が体重超過⇒王座剥奪
18年 4月
ヘスス・クェジャル 〇3回TKO WBA SFe級王座獲得
19年 2月
ウーゴ・ルイス 〇1回KO 防衛①
19年 7月
リカルド・ヌネス 〇2回TKO 防衛②
19年12月
ユリオルキス・ガンボア 〇12回TKO WBA L級王座獲得
20年10月
レオ・サンタ・クルス 〇6回KO WBA SFe級王座獲得 L級防衛①
21年 6月
マリオ・バリオス 〇11回TKO WBA SL級王座獲得 ⇒ 返上
21年12月
イサック・クルス 〇12回判定 WBA L級王座防衛②
22年 5月
ローランド・ロメロ 〇6回TKO WBA L級王座防衛③
23年 1月
エクトル・ガルシア 〇9回TKO WBA L級王座防衛④
※12戦全勝(11KO) ※自身が体重オーバーしたフォンセカ戦を含む


<TALE OF THE TAPE 両選手のデータ比較表>

  • 名前

    デービス

    ガルシア

  • 生年月日/年齢

    1994年11月7日/28歳

    1998年8月8日/24歳

  • 出身地

    米国メリーランド州ボルティモア

    米国カリフォルニア州ビクタービル

  • アマチュア実績

    12年全米GG大会優勝

    16年全米ユース選手権ライト級優勝

  • アマチュア戦績

    220戦205勝15敗

    230戦215勝15敗

  • プロデビュー

    13年2月

    16年6月

  • 獲得世界王座

    WBA、IBF Sフェザー級
    WBA ライト級
    WBA Sライト級

    WBC暫定ライト級

  • 身長/リーチ

    166センチ/171センチ

    178センチ/178センチ

  • プロ戦績

    28戦全勝(26KO)

    23戦全勝(19KO)

  • KO率

    93%

    83%

  • 世界戦の戦績

    12戦全勝(11KO)
    ※計量で失格の試合含む

    1戦1勝(1KO)

  • 直近の試合

    23年1月(9回TKO勝ち)

    22年7月(6回KO勝ち)

  • 戦闘スタイル

    左ファイター型

    右ボクサーファイター型

  • ニックネーム

    Tank(装甲戦車)

    King Ry



<ライト級トップ戦線の現状>

WBA S
:デビン・ヘイニー(アメリカ)
:ジャーボンテイ・デービス(アメリカ)
WBC
:デビン・ヘイニー(アメリカ)
IBF
:デビン・ヘイニー(アメリカ)
WBO
:デビン・ヘイニー(アメリカ)

 デビン・ヘイニー(24=アメリカ)が4本のベルトを保持しているが、抜きん出た存在かというとそうとは言い切れないものがある。むしろ5月20日(日本時間21日)にヘイニーに挑戦する元世界3階級制覇王者のワシル・ロマチェンコ(35=ウクライナ)、WBAのレギュラー王者、ジャーボンテイ・デービス(28=アメリカ)、そのデービスと対戦する元WBC暫定王者のライアン・ガルシア(24=アメリカ)、さらに吉野修一郎(31=三迫)に勝ったシャクール・スティーブンソン(25=アメリカ)らが横並び状態といえるかもしれない。ロマチェンコを除く4人は若くて伸び盛り、それでいて経験値も高い選手である。今回のデービス対ガルシア、1ヵ月後のヘイニー対ロマチェンコの勝者同士が年内に“決勝戦”を行うというのが理想だ。そこに来年以降、スティーブンソンが割って入ることが予想される。
 もうひとり、東京五輪のライト級銀メダリスト、キーション・デービス(24=アメリカ)が、いつ、どのタイミングでトップ戦線に割り込んでいくのかという点にも注目したい。身長175センチ、リーチ178センチの「もうひとりのデービス」はすでにWBO10位、IBF14位、WBC16位にランクされており、近い将来に世界王座の争奪戦に絡んでくることは間違いないだろう。
 このほかWBC2位、IBF4位、WBO5位、WBA6位にランクされるイサック・クルス(24=メキシコ)、17戦全勝(12KO)のフランク・マーティン(28=アメリカ)、元世界王者のレネ・アルバラード(ニカラグア)とジョセフ・ディアス(メキシコ)を連破したウィリアム・セペダ(26=メキシコ)らにも注目したい。

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劇場公開時、PG12指定(小学生以下は助言・指導が必要)されたもの
2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R-15指定(15歳未満鑑賞不可)されたもの
R-15指定に相当する場面があると思われるもの
劇場公開時、R15+指定(15歳以上鑑賞可)されたもの
R15+指定に相当する場面があると思われるもの
1998年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R指定(一般映画制限付き)とされたもの