サッカー欧州選手権、準決勝ポルトガルvsスペインの一戦は、PK戦の末、前回王者のスペインがポルトガルを下し、2大会連続となる決勝進出を決めた。連覇を狙うスペインは、7月1日にキエフで行われる決勝戦でドイツvsイタリアの勝者と対戦する。

前回王者、そして世界王者のスペインを相手に、ポルトガルの選択したゲームプランは果敢なものだった。最終ラインを高く保ち、中盤をコンパクトにしつつ高い位置でプレスをかける。前日会見でパウロ・ベント監督が明言した通り、勇気ある戦い方をチョイスしたポルトガルは試合序盤、スペインからリズムを奪う事に成功した。一方、前線の構成が注目されたスペインは、フェルナンド・トーレスでもセスクでもなく、ネグレドのワントップと言うサプライズ人事で試合をスタートした。
スペインは、開始直後こそ、左サイドの攻防からイニエスタ、ネグレドとつなぎ、中央へ絞ったアルベロアが決定機を迎える場面があったが(シュートは枠外へ)、その後はポルトガルの闘争心溢れるプレスに、持ち前のショートパスを主体とした攻撃が手詰まりとなり、自慢の流麗なパスワークが鳴りを潜めてしまう。
しかし、王者の貫禄からか、スペインは決して慌てる素振りを見せる事なく、辛抱強くリズムの創出を試みる。後半に入り、54分にはネグレドに代えセスクを投入し、更なるポゼッションの優位性を確立すると、60分にはヘスース・ナバスを投入し、サイドの活性化を図る。対するポルトガルは、時折クリスティアーノ・ロナウドとFWのコンビでカウンターを繰り出し応戦する。
スコアレスのまま突入した延長戦では、87分に投入されたペドロの軽快な動きがスペインにリズムをもたらしたが、集中を切らさずに守ったポルトガルの牙城を崩すには至らず、勝負はPK戦へ。
両GKがセーブして始まったPK戦では、ポルトガルが2人外したのに対し、スペインは4人が決め、連覇へ向け一つ前進した。
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