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宮本恒靖の焦点/Focus of the Tsuneyasu MIYAMOTO

元日本代表キャプテン宮元恒靖が世界最高峰のサッカーを分析!

2度のワールドカップを経験し、海外でもプレーした宮元恒靖が、世界トップレベルでの経験を元に独自の視点からリーガ・エスパニョーラを掘り下げる。

第6回 各国の特徴が色濃く表れたグループリーグ。激戦を勝ち抜いたチームの強さ

いよいよベスト8が出揃ったユーロ。各国が目指すのは7月1日の決勝戦と、その先にあるヨーロッパ王者の栄冠だ。ここまでの戦いはいずれのチームにとっても険しく、グループリーグ最終節を迎えた時点で決勝トーナメント進出を決めているチームは無かった。そして、激戦の末に明暗を分けた、各チームの結末。その道のりを、宮本恒靖が振り返る。

最終ラインから始まるドイツの攻撃

ボールを持ち上げる、ドイツ代表フンメルス

―― ここまでの試合で、印象に残っている選手やプレーをお聞かせください

ドイツの試合を見ていて、フンメルスのボールの持ち出し方が印象的です。守備から攻撃へと転じる時に、フンメルスがハーフライン近くまでボールを持ち上げられる分、中盤や前線の選手は後ろの組み立てに参加する必要が無いんですよ。それによって、彼らは前で力を使うことができます。
前線でエジルやミュラーにボールが収まって、そこにシュヴァインシュタイガーがすっと上がってくる。もし後ろの組み立てから参加して、ボールが前へ行く度に走っていたら、その運動量だけでも大変だと思います。フンメルスがボールを運べることによって、前線の選手たちの負担が減り、結果としてドイツは重要な局面で力を発揮できていると思います。

――フンメルスのテクニックが優れているということでしょうか

相手のフォワードも中盤も、ディフェンスに対して色々なプレッシャーをかけてくるのですが、そこでキックフェイントや味方との連携を使いながら自分のポジション上げていきます。フンメルスに関しては、運び方もそうですし、最後の最後までパスコースを探して短いパスを通す精度が非常に高いと思います。例えばピケ(スペイン)は長いボールを蹴りたがりますが、フンメルスを見ているとピケよりもそういった技術で優れていると感じます。
加えて、運びながら左足も使えることが大きな違いだと思います。右に持ち替えるとパスコースが限られてしまいますが、フンメルスの場合はそうじゃない。右利きなので長い距離は蹴れないけど、プレッシャーがかかっている中でも短く正確なパスを左足で出しています。そこが起点となって、ドイツの攻撃に繋がっていると思いますね。
これから先の試合では、相手も今以上にフンメルスを消しに来ると思います。2試合目はオランダもプレッシャーをかけていましたけど、それでもかいくぐってシュートまで行ったシーンもあってすごいと思いました。オランダはマンマークなので、パスフェイントにもついて行くから、するするっと抜けたんですよね。自分がボールをこう動かしたら相手がこう動くといった駆け引きの感覚は、抜群に高いと思います。守備面ではファン・ペルシーに裏を取られたり、たまにスコンと抜かれることもありますが、それを差し引いても攻撃面があるから試合に出ているのだと思います。もちろん、ディフェンスも一定以上のレベルがありますけどね。

各国の特徴が色濃く表れたグループリーグ

―― 大会が開幕する前に、ゴールキーパーも見て欲しいとお話しされましたが、印象に残っている選手はいますか?

プレティコサ(クロアチア)は良かったし、カシージャス(スペイン)、ブッフォン(イタリア)、ノイアー(ドイツ)も良いですね。その中でもノイアーが一番勝利に繋がるプレーをしているかな。

―― 勝利に繋がるゴールキーパーのプレーとは?

結果から遡ればボールを止めることになってしまうのですが、ポルトガル戦でヴァレーラがシュートしたシーンで、ノイアーがきちんとセーブしましたよね。もしあのセーブが無かったら、流れがどう変わっていたか分からないと思います。
以前も話しましたが、パスがどこに出るかを読んで、ポジションを適切な位置に変えてパスコースを消し、最後まで倒れないことが大切です。カシージャスもイタリア戦で、ディ・ナターレに決められましたけど、最後まで倒れないで止めにいった。ブッフォンも初戦でフェルナンド・トーレスのドリブルを止めましたし、あれがレベルの高さだと思います。日本人のキーパー観を変えるくらいの攻防が、ユーロにはあると思うんです。

イタリアの攻撃の起点となるピルロ

―― グループリーグを通して、サッカーの新しい流れやトレンドは感じますか?

ロシアのカウンターの速さや、ポーランドの縦にぐいぐい出ていく攻めなど、それぞれの国の特徴がそのまま出ていると思います。イタリアは前のタレントを活かすサッカーになって、スタイルが変わってきている気がします。裏を返せば、クロアチア戦でのキエッリーニのような、簡単に入ってしまう失点は今まででは無かったと思いますね。今はまだ、そこまではっきりしたトレンドは見えないですね。

―― ここまでの結果をご覧になって、意外だったことや驚きはありましたか?

クロアチアの戦いぶりは驚きでした。クロアチアは厳しいかなと思っていましたが、モドリッチの存在感が4年前とは比較にならないくらい大きく、しっかり戦えていますね。あとは、選手の運動能力の高さを見ると、やっぱりロシアは良いなと驚きます。オランダが負けたことはそれほど意外では無かったです。なんとなくイラついてしまって、チームもプレーもバラバラでした。

――オランダに関して、W杯で準優勝した2年前と何が変わっているのでしょう?

一つには、マタイセンのパフォーマンスが落ちていると思います。センターバックが良くなく、守備面の甘さがあります。またドイツ戦でシュヴァインシュタイガーがマリオ・ゴメスにパスを出した1点目のシーン、中盤がぽっかり空いていましたよね。ボランチもW杯から2年後の今、運動量が落ちていて、味方同士の距離感も良くなかった。では、ロッベンが気を利かせて守備に戻ってくるかと言ったらそれも期待できない。

―― 新たな上積みが無いと、主要大会で戦うことは難しいですね

ドイツは新たな上積みをしてきていますよね。スペインも入れ替わりはないけど、キャリアの終盤に差し掛かっている選手はオランダの方が多いと思います。日本代表も2014年のW杯に向けて、勇気を持って新しい選手を使っていく必要があると思います。

局面で行われるハイレベルな駆け引き

宮本恒靖

―― これから現地へ行かれるにあたり、楽しみにしていることはありますか?

メディアだけでなく、ファンの人たちにどれくらいホスピタリティが行き届いているかを体感してみたいです。他には、セキュリティや大会運営なども見たいと思います。こういった大きい大会で、選手としてではなく、現地に行くのは初めてなので、そこで見たもの、感じたものをこれからFIFAマスターに行った時に活かすことができるかなと思っています。記者会見などで監督や選手に話を聞いてみたいとも思いますが、今回は少し難しそうですね。

―― 決勝トーナメントの戦いが始まりますが、楽しみを教えてください

少し深い話になりますが、過去のユーロを見ていても思うことは、がっちり守っている相手がいて、それを崩す時にお互いすごくハイレベルな駆け引きをしているんですよね。前に出て切り崩すのか、あるいは一歩引くかという選択もそうですし、パスを出す時も、ただボールをこねくりまわしているだけじゃなくて、少し別の目線で見ると彼らは全然違うことをしている。良いタイミングで出そうと、ボールをためながら中盤の選手が入ってくるのを待っていたりします。
欧州の選手たちは、小さい頃からゲーム形式の練習を積むことで、駆け引きの感覚が鍛えられているのだと思いますが、コアな人には見ていてたまらないと思いますね。分かり易いところでは、試合のスピード感や、音声マイクが拾うボンっていうボールを蹴る音を聞くだけでも、他の大会との違いを感じられて楽しいと思います。テレビでも五感を全部使って楽しんで欲しいと思います。

宮元恒靖プロフィール

1977年2月7日生まれ 大阪府出身 同志社大学経済学部卒ガンバ大阪ユースから1995年にトップデビュー。
2000年に日本代表初選出を果たすと、2002年FIFAワールドカップではbest16進出、2006年FIFAワールドカップではキャプテンを務めた。2007年にはオーストリアのザルツブルクへ移籍。UEFAチャンピオンズリーグ予備予選にも3試合出場している。2011年12月、惜しまれつつ34歳でピッチを後にした。



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