サッカー欧州選手権、グループB第2節オランダvsドイツのライバル対決は、2―1でドイツがオランダを下した。この結果、ドイツは準々決勝進出に大きく前進し、敗れたオランダはグループリーグ突破が極めて難しい状況になった。

スコアこそ2‐1と僅差だが、終わってみれば、地力に勝る者が相手に引導を渡した、すこぶる説得力のある勝利であった。確かに、試合前の勝ち点差が試合を通じてドイツに落ち着きをもたらした事は否めないが、そんな状況的なアドバンテージが瑣末な要素に思えてしまうほど、ドイツはオランダを凌駕していた。
序盤こそ、DFラインの裏を取る動きで再三決定機を作りかけたファン・ペルシーにオランダ勝利の予感を見いだす事ができたが、それも次第にコンパクトかつコレクティブに隊列を整えていくヨアヒム・レーヴのチームを前に薄らいでいった。半ばボールを持たされる形でポゼッションを高めるオランダ。多少バランスを崩してでも前に出たいオランダ。問題なく対応できているドイツ。そんな状況で、ドイツに先制ゴールが生まれた。24分、中央でフリーになっていたシュヴァインシュタイガーにボールが収まると、そこから、絶妙な位置取りをしていたマリオ・ゴメスへパスが通り、鮮やかなステップからシュートを決めた。38分には、同じコンビネーションで同じようにしてドイツに追加点が入った。
後半開始からフンテラールとファン・デル・ファールトを投入し、並びを4‐3‐3に変更したオランダは、更に攻勢に出ようと試みるが、オランダは無慈悲なまでに組織的なドイツのブロックを前に、連動性を確立できず、攻撃が単発に終わってしまう。それでも、73分にファン・ペルシーが個人技で1点をもぎ取るが、反撃もここまで。チームとして機能する中で生まれた個人能力による2点。かたやチームが機能しないが故に生まれた個人能力による1点。このワンゴールの隔たりは余りにも大きかった。
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