攻撃的なサッカーを標榜するチーム同士の対戦となったサッカー欧州選手権決勝、スペイン対イタリアの一戦は、スペインが4‐0でイタリアを下し、史上初の大会2連覇、そして主要大会3連覇を果たした。

セスクをトップに据えたスペインに対し、イタリアが結果の出ている4バックでスタートした前半は、両チームの攻撃的な姿勢がぶつかりあう展開となる中、主導権を握ったのは王者スペインだった。この日、軽快な動きが目立ったシャビを中心に、テンポ良くゴールへ迫るダイレクトプレーで立ち上がりからブッフォンを脅かしたスペインは、14分、シャビからボールを受けたイニエスタがセスクへスルーパスを通すと、深い位置からのセスクの折り返しをシルバがヘッドで決めて試合を動かした。
同点に追いつきたいイタリアは、21分にキエッリーニが負傷交代するアクシデントに見舞われるも、前半30分過ぎまでスペイン相手にポゼッションで上回るが、バランス良く守るスペインを崩し切るには至らない。逆に、前掛りになったことで空いたスペースを巧みに突かれ、41分、シャビの絶妙なスルーパスからジョルディ・アルバにゴールを決められ、2点ビハインドの苦しい状態で前半を折り返すことに。
後半開始からディ・ナターレを投入して反撃を図ったイタリアは、早々にそのディ・ナターレが決定機を迎えたが、ヘディングが枠を外れると、以後は今大会一番の冴えを見せたスペインのパスサッカーを前に、ゴールが遠ざかる。そして57分、モントリーヴォを下げ、モッタを投入するが、これが結果的にイタリアの命運を分けてしまった。数分後、そのモッタが負傷退場し、交代枠を使い切ったイタリアは10人での戦いを強いられる状況に。このアクシデントにより大勢は決した。
数的優位に立ってボールを支配したスペインは、その後2ゴールを追加して快挙を達成した。刀折れ矢尽きたイタリアは王者の華麗なダンスの前に涙を呑んだ。
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