UEFA EURO 2012TM サッカー欧州選手権に於けるグループリーグの中で、このグループCほど、実力差が明確なグループもない。即ち、スペインとイタリアの2強、そしてクロアチアとアイルランドの2弱である。恐らく、ブックメーカーのオッズが一番綺麗に分かれているのがこのグループCだろう。しかし、このユーロという大会では、必ずと言っていいほど、世間をあっと驚かせるダークホースが躍動する。前回大会のロシア然り、前々回大会のギリシャ然り。今大会の出場国を見渡すと、クロアチアとアイルランドにその一躍雛壇へと躍り出るダークホースの雰囲気を感じずにはいられない。スペインもイタリアも決して安穏とはしていられないのである。
しかし、このグループリーグの試合日程は、2強にとって多少有利に作用すると見てよかろう。いきなり初戦で対戦することになったスペインとイタリアの一戦には、金持ち喧嘩せず、そして初っ端から生き残りをかけた戦いを強いられることになったアイルランドとクロアチアの一戦には、サバイバルマッチという言葉がしっくりくる。スペインにしてもイタリアにしても、初戦をしくじったとて、格下相手となる残りの試合に挽回のチャンスは十分残されていると思考をリセットすることができるが、アイルランドとクロアチアに至っては、初戦を落とすと、残り2試合は自ずとスペインとイタリアになるわけだから、後がないのである。
そう考えると、スペインvsイタリアは、真剣勝負ながらも、どこかに先を見据えた“幅”を持たせた大人のゲームとなる公算が高いと言え、逆にアイルランドvsクロアチアは、文字通りのガチンコ対決が期待できそうである。守備戦術の統制がとれたソリッドなアイルランドに、中盤の独創性が魅力的なクロアチア。この初戦の勝者が今大会の台風の目となると予想したとしても、それはあながち的外れでもあるまい。