イタリアのフットボール界は28日、“アズーリ”(同国代表の愛称)にも大きな影響を与える激震に襲われた。
イタリア当局は同日午前、昨年6月に発覚した“Calcioscommesse(カルチョ・コメッセ:サッカー賭博)”と呼ばれる八百長スキャンダルに関与したとして、ラツィオで主将を務める元イタリア代表MFマウリを含む19人の関係者を逮捕した。そして、UEFA EURO 2012TM(サッカー欧州選手権)に向けた合宿中のイタリア代表でも、ゼニト・サンクトペテルブルクのDFクリシートが、昨シーズンまで在籍したジェノア時代に同事件に係った疑いがあるとして捜査を受けた。
この“Calcioscommesse”では、かつてラツィオのエースとして活躍した元イタリア代表FWのジュゼッペ・シニョーリ氏やアタランタの元イタリア代表MFドーニらが昨年の時点で既に逮捕されており、今回もクリシートだけではなくユヴェントスのアントニオ・コンテ監督などにも捜査の手が及んでいる。
2006年にも“Calciopoli(カルチョ・ポーリ:サッカー・スキャンダル)”と呼ばれる一大スキャンダルを経験しているイタリアのフットボール界にとって、“Calcioscommesse”は当然ながら極めて繊細な話題となる。それゆえ、ユーロの最終登録メンバー発表の直前に予想外のアクシデントに見舞われたFIGC(イタリア・フットボール連盟)は、この事件が及ぼす強い影響力を考慮して、急遽クリシートをイタリア代表から除外することを決定した。
一方、左サイドバックのレギュラー候補の突然の離脱に計画を狂わされたチェーザレ・プランデッリ監督は、ユーロに向けた最終メンバー23名の選出に向け、暫定メンバーを32名から25名に絞ったことを発表した。今回チームから外された7名の中には、暫定リストでサプライズ招集を受けたペスカーラのMFヴェッラッティらが含まれ、クリシート以外は想定範囲内の選択となっている。
なお、クリシートの抜けた左サイドバックには、ユヴェントスのDFキエッリーニをセンターバックから回すか、パレルモのDFバルザレッティを起用するかのどちらかとなる。しかし、プランデッリ監督が暫定メンバーの絞り込みを発表した後、今度はユヴェントスのDFボヌッチも“Calcioscommesse”に関する事情聴取を受ける事態となり、仮に同選手もチームから離脱することになると、イタリア代表のDFラインは極めて手薄な状態となる。
この状況を受けて改めて記者会見を開いたプランデッリ監督は、ボヌッチをメンバーから除外する意思はないことを明らかにしている。とはいえ、29日が提出期限となっているユーロの最終登録リストでは、チームを外れる残り2名が誰になるのか、いっそうの注目が集まったことは間違いないだろう。