21日にワルシャワで行われた「UEFA EURO 2012TM」準々決勝第1戦・チェコ対ポルトガルは、クリスティアーノ・ロナウドの1発でポルトガルが2大会ぶりのベスト4入りを決めた。ボール支配率57対43、シュート数は20対2とポルトガルの圧勝となったが、試合前はポルトガルメディアも一抹の不安をのぞかせていた。
「B組初戦でドイツに負けて、最悪のスタートを強いられたから心配していた。クリスティアーノ・ロナウドも決定力不足が顕著だったしね。デンマークとオランダに勝って徐々に調子を上げてきたし、攻撃の軸をなすモウティーニョや守備の要・ペペの動きにもキレが出てきた。そういう選手たちがいるから、今回のポルトガルは2004年大会で準優勝した時よりタレント力は高いけど、チームとして完璧に機能しきれていなかったのが心配だった」とポルトガルのテレビ局『Sic TV』のヌノ・ルイス記者も話す。

しかし、彼の懸念も杞憂に終わった。後半34分の決勝点が生まれるまでは決定的チャンスを逃し続けたポルトガルだが、やはりエースは決めるべきところを決めてくれる。クリスティアーノ・ロナウドの存在感はやはり絶大なのだ。
「彼のゴール前の迫力が戻ってきたのは明るい材料だね。ただ、次の準々決勝はスペインかフランスが相手。スペインには2004年大会の1次リーグで1−0で勝っているけど公式大会での白星はその時くらい。かなり相性が悪い。フランスに至っては欧州選手権やワールドカップの本大会で一度も勝ったことがない。小国・ポルトガルにとってスペインやフランスはいつも大国。精神的に引け目を感じる部分が潜在的にある。それを払しょくできるかどうかがカギになるね」とルイス記者はメンタル面のポイントに言及する。

さらに、重要なのが運である。スペインが南アで続けて優勝できたのも、決勝戦でオランダが決定機を外しまくる幸運があったから。神が味方しなければ2004年大会を超えることはできないと彼は言う。
「我々ポルトガルが2004年に準優勝できたのも、イングランドとの準々決勝のPK戦を制することができたから。それ以上の運がないと優勝は難しい。でもクリスティアーノ・ロナウドという絶対的な存在のいる今回はやってくれると信じてるよ」とルイス記者は笑顔を見せていた。

8年前に自国開催で母国の人々を熱狂と興奮の渦に巻き込んだエースがより大きな仕事をやってのけるのか。ポルトガルの今後の動向に注目したい。