8日に始まった「UEFA EURO 2012TM」 もベスト8進出国も出揃った。21日から始まる準々決勝の激闘を控え、19日は大会初の休養日。ポーランド国内も日常の静寂を取り戻したかの雰囲気だ。サポーターも会場地であるワルシャワやグダンスクだけでなく、マルボルク城やアウシュビッツなどポーランド国内の名所旧跡に出かける人も少なくない。
ワルシャワから列車で3時間、グダンスクから4時間とほぼ中間地点にある世界遺産の街・トルンも大勢のサポーターが連日訪れている、地動説を唱えた天文学者・コペルニクスが生まれたこの町はドイツ風の旧市街が非常に有名だ。コペルニクス像のある旧市庁舎前、新市街広場につながるメインストリートはいつも人で賑わっている。ヴィスワ川の流れに中世の面影を残す風景はまるでおとぎ話の世界のようだ。

20日は残念ながら朝から大粒の雨が降り、旧市街もやや閑散としていた。それでも19日の夜には、8強入りをかけたイングランド対ウクライナの決戦を見ようと、オープンカフェには沢山の観光客が繰り出した。ポーランドの定番スープであるジューレック、庶民の食べ物であるピエロギ(ポーランド風餃子)に舌鼓を打ちつつ、コクのあるビール飲みながら見る試合はまた格別だ。

そんなオープンカフェでひと際、目立っていたのが、緑のユニフォームを身にまとったアイルランドサポーターだ。彼らにとって歴史的に因縁のあるイングランドは宿敵。すでに自分たちの国が3戦全敗で1次リーグ敗退を余儀なくされているだけに、どうしてもイングランドには準々決勝に上がってほしくなかったのだろう。これみよがしにウクライナの応援に回っていた。

結局、試合は後半頭にルーニーが1点を挙げ、ウクライナはミレフスキー(ディナモ・キエフ)のシュートがノーゴールと判定されるなど不運もあってイングランドの勝利に終わった。アイルランド人たちの悔しさはひとしおだろう。この悔しさは次の2016年フランス大会にぶつけるしかなさそうだ。