番組開始20周年を記念し、鉄道発祥の地を全6回にわたって紹介。
イギリス・アイルランド大縦断
番組開始からついに20周年。記念すべき今回は、鉄道発祥国・イギリスとケルト文化が息づくアイルランドを、番組初となる全6回の大型シリーズで巡ります。当地で蒸気機関車が発明されたのは1800年代初頭。それ以来の長い歴史を物語る各地の多彩な保存鉄道を訪ねつつ、美しい田園風景や世界遺産、産業革命を支えた街々の表情を紹介します。
番組開始20周年を記念し、鉄道発祥の地を全6回にわたって紹介。 イギリス・アイルランド大縦断番組開始からついに20周年。記念すべき今回は、鉄道発祥国・イギリスとケルト文化が息づくアイルランドを、番組初となる全6回の大型シリーズで巡ります。当地で蒸気機関車が発明されたのは1800年代初頭。それ以来の長い歴史を物語る各地の多彩な保存鉄道を訪ねつつ、美しい田園風景や世界遺産、産業革命を支えた街々の表情を紹介します。 [PART6] 北の大地・スコットランドを行く エディンバラ〜パース〜アヴィモア〜インヴァネスエディンバラ 世界遺産に登録されるスコットランドの首都フォース橋エディンバラの北西、フォース湾を跨ぐ鉄道橋。19世紀に強風による落橋事故が続いたため、1889年に頑丈さ重視で建設されました。主塔の高さ110m、全長2528m、使われた鋼鉄5万4千トン、リベット約800万個、建設期間7年。いつまでたっても終わらないことを「フォース橋にペンキを塗るようだ」というほど、このとてつもない巨大さと鋼鉄の質感は、大英帝国の威容を感じさせるに十分です。 フォース橋 パース イギリス人の住みたい街No.1スクーン宮殿・スクーン修道院10〜16世紀、スコットランド王の戴冠式が行われた場所。王が座った「運命の石」はレプリカで、本物はエディンバラ城にあります。宮殿は1580年に建てられ、現在はマンスフィールド伯爵邸。18世紀のフランス家具や調度品、マイセンの磁器類など豪華なコレクションは必見です。驚くのは1808年の改装時、目の前の村を3km東に移転させたそうで、村の門と市場を示すクロスが敷地に残っています。 スクーン宮殿 運命の石 市場を示すマーケット・クロス ピトロッホリー地図にも載らない小さな町、ピトロッホリーが注目を浴び始めたのは1842年。ヴィクトリア女王が訪問し、リゾート地として認知されてからでした。ロンドン留学中の夏目漱石も、休暇を過ごしに来たそうです。ハイランドならではの珍しいお土産を探しているなら、ヒースの枝を加工したアクセサリー。脱色した小枝を染色し、圧縮して磨き上げています。落ち着いた色合いで、宝石や七宝焼きのようです。 染色した小枝 圧縮加工して成形 宝石のような仕上がり アヴィモア 大自然に抱かれた渓谷のリゾートストラススペイ鉄道1898年に開通し、スペイ川流域のウイスキー蒸留所の発展に寄与した鉄道。1965年に廃線となりましたが、多くの保存鉄道同様、熱心な声により1978年に復活を遂げました。アヴィモアからブルームヒルまで16kmを約40分、ハイランドの大地を蒸気機関車が駆け抜けます。常に工夫を凝らした趣向で乗客をひき付けており、ディナーやアフタヌーンティ、沿線のイベントとセットにした乗車券が人気です。 ストラススペイ鉄道 ケアンゴーム登山鉄道標高1245mのケアンゴーム山は、夏は登山やトレッキング、冬はスキーで賑わうマウンテンリゾート。鉄道というよりケーブルカーのような車両が、麓と展望台を約7分で結んでいます。ここからスペイ渓谷の景色を一望したら、大自然と実際に触れ合うアクティビティがおすすめ。湖でのカヤックやウインドサーフィン、川でのフィッシング、草原のトレッキングなど。羊や野生の鹿に会えるかもしれません。 ケアンゴーム登山鉄道 豊かな自然に囲まれたアヴィモア ウイスキー街道スペイ川流域は、スコッチ・ウイスキーの蒸留所が約50も点在します。最も古く最も美しいといわれる蒸留所・ストラスアイラはシーバスリーガルの、カードゥはジョニー・ウォーカーの原酒メーカーとして有名。グレンフィディックは規模が大きく、見学コースや試飲の充実度で人気。蒸留所を支える樽工場にはさまざまな酒の樽が14万丁も積まれ、熟練の職人の手によって再生されるのを待っています。 グレンフィディック蒸留所 グレンフィディックの蒸留器 樽工場 アバネシー村ハイランド・ゲームズは、丸太投げや重り投げ、バグパイプや太鼓のバンド演奏、ハイランド・ダンスなどで競うスコットランド独特の競技会。祭りの催しの力比べや、王様が兵士にさせた徒競走が起源といわれています。アヴィモア近郊のアバネシー村では、1880年から続く伝統行事。選手は正装であるキルトを着用し、競技は真剣そのものです。露店や移動遊園地も出るほど賑わい、観光客も多く訪れます。 丸太投げ 重り投げ ハイランド・ダンス インヴァネス ネス湖で注目されるハイランドの都インヴァネス城街を見下ろす好立地に建つ城は、現在は裁判所。11世紀に建てられた要塞を起源として、幾度かの破壊と再建を経て、1835年に現在の建物ができました。城の前にたたずむ像は、フローラ・マクドナルド。名誉革命でイギリスを終われたジェームズ2世の孫であり美貌のスコットランド王子、「ボニー・プリンス・チャーリー(麗しのチャーリー王子)」のフランス逃亡を助けた女性として知られています。 インヴァネス城 フローラ・マクドナルド像 コーダー城インヴァネス郊外にあり、シェークスピアの『マクベス』の舞台として有名。しかしマクベスは11世紀の人、城の原型ができたのは14世紀で史実ではありません。「夜ロバが休む所に城を建てよ」という夢のお告げにより築城したそうで、そのときロバが休んだ木はソーンツリー・ルームという部屋で今も見ることができます。森を背景に広大な庭園を従え、ハイランドで一番優美という賛辞も納得の城です。 コーダー城 ネス湖長さ約38km、幅約2km、水深は約200mもある細長い湖。ネッシー伝説で世界的に有名ですが、その最初の記録は565年、聖コロンバが村人を苦しめる怪物を神通力で追い払ったというもの。以後今日まで1500年も目撃談が絶えません。アーカート城からの眺めが素晴らしく、戦いの歴史を刻む廃墟、未だ謎の多い広大な湖、世界を巻き込んだ怪獣伝説と、数々の神秘が一挙に体感できる貴重な場所です。 ネス湖 アーカート城 ネス湖エキシビション・センターネッシー伝説だけでなく、その広さ・深さ・透明度の低さゆえに謎の多いネス湖。その謎に地理学、民俗学、生態系などさまざまな見地から迫る博物館です。潜水艦や魚群探知機を使った湖底探索の様子、目撃者のインタビューなど、5つの最新鋭シアターを駆使した映像はつい見入ってしまうはず。調査に使われた機器や潜水艦、写真なども豊富です。ネッシーグッズの豊富さも群を抜くので、お土産はここで。 ネス湖エキシビション・センター 湖底探索の潜水艦 中庭のネッシー
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