番組開始20周年を記念し、鉄道発祥の地を全6回にわたって紹介。

イギリス・アイルランド大縦断

番組開始からついに20周年。記念すべき今回は、鉄道発祥国・イギリスとケルト文化が息づくアイルランドを、番組初となる全6回の大型シリーズで巡ります。当地で蒸気機関車が発明されたのは1800年代初頭。それ以来の長い歴史を物語る各地の多彩な保存鉄道を訪ねつつ、美しい田園風景や世界遺産、産業革命を支えた街々の表情を紹介します。

[PART2]イングランドの原風景に誘われて ロンドン~ストラトフォード・アポン・エイヴォン~バーミンガム
~マンチェスター~リヴァプール ロンドン ストラトフォード・アポン・エイヴォン ストラトフォード・アポン・エイヴォン バーミンガム マンチェスター リヴァプール リヴァプール

イングランドの原風景に誘われて

ロンドン 歴史と伝統、進化と最先端が混在する大都市
タワーブリッジ

1894年に建設された跳ね橋。当時はロンドンの繁栄に伴い、テムズ河を往来する船が大型化した時代。必要に迫られてできた橋は、1日に約50回も開閉していたそうです。今は日に3回程度で、少ないシャッターチャンスを狙って人々が待ち構えます。塔の内部にはヴィクトリア時代の水圧式動力装置が収められており、見学が可能。2つの塔はガラス張りの遊歩道で結ばれ、シティを一望する絶景です。

タワーブリッジ
タワーブリッジ
ロンドン塔

城、要塞、牢獄、処刑場と数奇な歴史を持つ城塞。叔父に暗殺されたといわれる、13歳のエドワード5世。ヘンリー8世に反抗して処刑された、『ユートピア』の著者トマス・モア。姦通罪で処刑された、ヘンリー8世の妻アン。冷たい石造りの城内には、彼らの幽霊が出るという伝説もあります。一方、ジュエルハウスには王室の宝物を展示。世界最大級、530カラットのダイヤモンドはぜひ見ておきたいもの。

ロンドン塔
ロンドン塔
ノッティング・ヒル

映画で有名になったノッティング・ヒルは、ロンドン西部の高級住宅街。ここで有名なポートベロー・マーケットは、古い歴史を持つロンドン最大のアンティーク・マーケットです。宝飾品から家具、カメラ、レース、おもちゃ、サッカー・グッズなど種類も豊富。昼間は一般のお客さんで大混雑ですが、朝6時前から始まる早朝は、国内外から商品を買い付けに来た専門業者が、真剣な顔で品定めをしています。

ポートベロー・マーケット
ポートベロー・マーケット
マーケットの名物店主
マーケットの名物店主
整然と並べられたミリタリー・フィギュア
整然と並べられたミリタリー・フィギュア
ベーカー・ストリート

推理小説ファンの聖地では、駅を降りるとホームズの像が出迎えてくれます。彼とワトソンが下宿していたベーカー・ストリート221Bは、作品が書かれた当時は架空のアドレスでしたが、後に番地が増えて現存することになったとか。今はその近くに、彼らの下宿を再現したシャーロック・ホームズ博物館があります。

シャーロック・ホームズ像
シャーロック・ホームズ像
ストラトフォード・アポン・エイヴォン 偉大な劇作家を生んだ小さな町
チルターン・レイルウェイズ

ロンドン~バーミンガム間の列車を運行している鉄道会社。マリルボン駅からストラトフォード・アポン・エイヴォンまでは約2時間半の旅です。チルターンは、携帯電話を使った電子チケットをイギリスで初めて販売した会社でもあります。インターネットの公式サイトで切符を買うと、バーコード付きのメールが携帯に送られ、そのバーコードを自動改札にかざすと改札を通過できるそう。

チルターン・レイルウェイズ
チルターン・レイルウェイズ
シェイクスピアの生家

古今東西、No.1の劇作家といえば彼のことでしょう。シェイクスピアは、1564年4月23日にこの家で誕生したと言われています。内部は、父親の工房、寝室、ダイニングなどが400年前のまま。父が成功した革手袋職人であり、後に市会議員や町長も務めた一家が、かなり裕福だったことが伺えます。中庭では中世の装束をまとった俳優が、作品の朗読や寸劇を演じるパフォーマンスをしていることも。

シェイクスピアの生家
シェイクスピアの生家
居間
居間
父親の皮革工房
父親の皮革工房
アン・ハサウェイの家

シェイクスピアの妻アンも、裕福な農家の娘でした。26歳で結婚するまで住んでいた実家は、チューダー朝建築の立派な茅葺きの家。19世紀まで、アンの子孫たちが実際に暮らしていたそうです。部屋数は12もあり、家具や調度品は16世紀のアンティーク。美しい庭園は、作家のディケンズや詩人のテニスンも魅了されたといわれています。

アン・ハサウェイの家
アン・ハサウェイの家
裕福さが伺える大きな暖炉
裕福さが伺える大きな暖炉
ホーリー・トリニティー教会

13世紀に建立。シェイクスピアが生誕時に洗礼を受け、妻や子どもたちと一緒に眠る教会です。彼の墓碑には「我が骨を動かす者に呪いあれ」と刻まれ、名声を得たロンドンに移されることを警戒してか、地下3mの深さに埋葬されているそうです。終の棲家は故郷と、文豪は考えていたのでしょうか。老朽化した墓の改修が2008年に行われましたが、呪いがかからないように配慮して工事を行ったとか。

ホーリー・トリニティー教会
ホーリー・トリニティー教会
教会内部
教会内部
シェイクスピアと妻アンの墓
シェイクスピアと妻アンの墓
ロイヤル・シェイクスピア・シアター

エイボン川を臨む劇場は、イギリスで最も歴史ある名門劇団「ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)」の本拠地。一流の俳優が演じる、本場のシェイクスピア劇を堪能できます。改修を終えて今年3月に新装オープンした際は、エリザベス女王も観劇されました。周辺はバンクロフト・ガーデンという公園で、シェイクスピアと作品中の登場人物の銅像が並んでいます。

ロイヤル・シェイクスピア・シアター
ロイヤル・シェイクスピア・シアター
シェイクスピアの像
シェイクスピアの像
コッツウォルズ地方

のどかな田園風景に小さな集落が点在し、イギリスの原風景といわれる地域。澄んだ小川、緑の丘と羊、石造りの家並みが心を落ち着かせてくれます。村ごとに屋根の葺き方や壁の色が独特で、それぞれに異なる美しさ、素朴さを見せてくれるのも魅力。中でもチッピング・カムデンは「王冠の中の宝石」と称される絵画のように美しい村。中世に羊や乳製品を取り引きしたマーケットホールが今も残っています。

チッピング・カムデン村
チッピング・カムデン村
スタントン村
スタントン村
羊がのどかに草を食む丘陵地帯
羊がのどかに草を食む丘陵地帯
バーミンガム 19世紀の産業革命を担った重工業都市
ヴィクトリア・スクウェア

大戦で古い建物がほぼ破壊された中、街の中心となる広場には歴史的建造物が残っています。威風堂々としたルネサンス様式のカウンシル・ハウス、ギリシア神殿を模したタウン・ホール、フランス・ルネサンス様式の郵便局。1885年開館のバーミンガム博物館&美術館は、見ごたえたっぷりなのになんと無料。宮殿のようなティールームもあり、優雅な気分でお茶を楽しめます。

カウンシル・ハウス(市庁舎)
カウンシル・ハウス(市庁舎)
ヴィクトリア女王像
ヴィクトリア女王像
ウォーター・エッジ

「世界の工場」とも呼ばれたバーミンガム。産業革命の物資輸送を、一手に引き受けたのが運河でした。航路が狭いため、幅が狭く全長が長い「ナローボート」には、乗組員一家の住居スペースもあったそう。鉄道との競争に負けないように、水上生活をしてフル稼働したためです。現在は運河と倉庫街が「ウォーター・エッジ計画」により美しく再開発され、ボートは運河クルーズの観光客を運んでいます。

ウォーター・エッジ
ウォーター・エッジ
マンチェスター サッカーでも知られるイギリス第2の都市
キャッスル・フィールド

綿織物が盛んだったマンチェスターで、紡績機に蒸気機関が導入されたのが18世紀末。この機械化という技術革新によって、産業革命は起こりました。キャッスル・フィールドは、その面影を残す旧工業地区。ローマ時代の遺跡の上に建設され、今も城壁が残っています。ここから南西に3kmほど行くと、マンチェスター・ユナイテッドのホーム・スタジアム、オールド・トラフォードがあります。

キャッスル・フィールド
キャッスル・フィールド
マンチェスター科学産業博物館

この建物は、1830年にマンチェスター~リヴァプール間に開通した世界初の旅客鉄道の駅舎。内部は、産業革命の原動力となった蒸気機関車の展示はもちろん、印刷・繊維・工作などの機械、水力・ガス・電気などのエネルギー、飛行機・ロケットなどの航空科学と、分野ごとに各々が1つの博物館といえるほど大規模な施設です。産業革命時代の技術を、実際に見たり体験できるワークショップも人気。

マンチェスター科学産業博物館
マンチェスター科学産業博物館
蒸気機関車の動力機構がよく分かる展示
蒸気機関車の動力機構がよく分かる展示
1954年製電気機関車アリアドネ
1954年製電気機関車アリアドネ
リヴァプール 三角貿易を担った港とビートルズの街
アルバート・ドック

アメリカや西インドとの貿易で、大英帝国の発展に寄与した港街。「海商都市リヴァプール」として2004年、世界文化遺産にも登録されました。現在は港の風情も観光資源となり、代表するエリアがアルバート・ドック。美術館や博物館、素敵なレストランが立ち並びます。近隣にあるトーマス・リグビーズは、1726年創業の老舗パブ。かつては、港湾労働者が仕事帰りに集まっていたのかもしれません。

アルバート・ドック
アルバート・ドック
トーマス・リグビーズ
トーマス・リグビーズ
マシュー・ストリート

ビートルズの歴史は、この通りを抜きに語れません。ライブハウス「キャヴァーン・クラブ」では1961年から、約300回も演奏し、ライブのたびに警備員を付けるほど長蛇の列ができたそうです。行きつけのパブ「グレープス」は、ライブの空き時間に楽屋代わりに通っていた店。彼らがよく座った席はビートルズ・シートと呼ばれ、当時店内で撮影された写真が飾られています。

マシュー・ストリート
マシュー・ストリート
キャヴァーン・クラブ
キャヴァーン・クラブ
写真が貼られたグレープス店内
写真が貼られたグレープス店内
ペニー・レイン

郊外にはジョンとポールが暮らした家や、曲にゆかりの地があります。ジョンが両親の離婚後、自身が結婚するまで暮らしたミミおばさんの家「メンディップス」。ジョンの少年時代の思い出が詰まった「ストロベリー・フィールド」。そのほど近くには、ポールが両親や弟と住んでいた家が。『ペニー・レイン』に登場する床屋、銀行も、曲ができた頃と同じたたずまいでファンを迎えてくれます。

ミミおばさんの家
ミミおばさんの家
孤児院「ストロベリー・フィールド」の赤い門
孤児院「ストロベリー・フィールド」の赤い門
『ペニー・レイン』の床屋
『ペニー・レイン』の床屋