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今後の観戦にも役立つ。3強による優勝争い、有利不利を徹底分析!【リーガコラム】

  • 2021/03/22

今後の観戦にも役立つ。3強による優勝争い、有利不利を徹底分析!【リーガコラム】

text by 木村浩嗣

ラ・リーガも残り11節。11節と言えば昨季の新型コロナウイルスによるリーグ中断再開後の試合数と同じ。あの時は11試合負けなし10連勝で突っ走ったレアル・マドリードが、中断時2ポイント差で首位にいたバルセロナを追い抜き逆転優勝したのだった。
現在、優勝への最短距離にいるのが、2位バルセロナに勝点4差、3位レアル・マドリードに同6差の首位アトレティコ・マドリードであることは疑いがない。が、これは3チーム共通で言えることだが、内容を見ればどこも危なっかしく、長い連勝をするような力はないように思う。1節ごとに勝ち点差が変わり、弱者が3強を喰うサプライズもあって、見ている者にとってはハラハラさせられる展開になるとみる。
戦術からストロングポイント、弱点、キーマッチまで様々な観点から3強の今後を占ってみた。

分析点①今、勢いがあるのはバルセロナ

3チームともに上向きだが、特にバルセロナに勢いがある。
リーガでは17試合負けなしの14勝3分。アトレティコ・マドリードのもたつきもあって直近6節で7ポイントも差を詰めた。チームの勢いはメッシの勢いとダイレクトに関係がある。最初の10試合で4ゴールだったメッシ。この間チームは30ポイント中14ポイントしか勝ち点を稼げなかった。が、その後の15試合(2試合は欠場)でメッシは17ゴールを挙げ、この間チームは45ポイント中41ポイントを稼いだ。

アトレティコは今年(1月21日以降)に入って勢いが落ちた。開幕後16試合では13勝2分1敗だったのに、その後の11試合は6勝4分1敗。原因は失点増にある。1月21日のエイバル戦を境に失点が増え始め、それまで16試合で4失点だったのにその後は11試合で11失点と急激に悪くなった。

レアル・マドリードの足どりはイレギュラーだった。開幕後10試合で5勝2分3敗という最悪のスタートを切った後、次の7試合6勝1分で飛び出すかと思いきや、直近の10試合では6勝3分1敗とまたもやペースダウン。結局のところ3番手だったという感じだ。ただ、このチームは直接対決に強い。対アトレティコ・マドリード1勝1分、対バルセロナ1勝。よって侮れない。

分析点②戦術。妥協的3バックの脆さ

今季、戦術面で特徴的なのは3強がいずれも3バックであることだ。
バルセロナとレアル・マドリードが[4-3-3]で、アトレティコ・マドリードが[4-4-2]というのが伝統。スペインに94年から住んでいるが、こんなシーズンは記憶にない。開幕時は4バックでスタートして、ケガ人続出や不振などの事情で3バックに変更した、いわば“妥協の産物”という点でも共通している。

欧州強豪の大きな流れは、ポゼッションサッカーとプレッシングサッカーに二分されており、いずれも最終ラインは高いフラットとなっている。が、3強はこれに反し中間的な高さのラインを敷き、現在流行している前からのプレスにも積極的ではない。アトレティコ・マドリードのディエゴ・シメオネは用心深い監督だからもともとハイプレスに積極的ではないし、レアル・マドリードのジネディーヌ・ジダンも戦術的な厳格性よりも選手を気持ち良くプレーさせるマネージメントの方を重視する監督。ロナルド・クーマンはポゼッション志向でボールを即回復するためにハイプレスを使う監督だが、今のバルセロナへは導入できない。メッシにプレスを要求してもプラスよりマイナス面(体力消耗)が大きいからだ。
結果的に、3チームともボール回復よりもポジションを下げて守る方法を選択している。だから、相手チームにもある程度攻められるし、ゴール前に侵入される。ロングボール一発のカウンターに慌てふためくことも少なくない。

失点を最後の一線で防いでいるのは、いずれも世界トップレベルのGK、オブラク(アトレティコ・マドリード)、テア・シュテーゲン(バルセロナ)、クルトワ(レアル・マドリード)の美技である。
シュートすら撃たせず完全にシャットアウトする、という試合は、3強のいずれも下位勢相手にもできていない。優秀なCB勢と世界最高レベルのGKが個の力で守っている。だからこそ、CLで優勝する力は今季の3強にはないとみる。

分析点③ストロングポイントは個の力

戦術的な解法がない、ということで3強とも個の力で違いを作り出している。
それぞれのキーマン3人と、今は力を出せていないが、ラストスパートで+αになりそうな期待の1人を紹介しておこう(GKは紹介済みなのでそれ以外から選んだ)。観戦時は特に注目してほしいし、彼らがケガで欠場ということになればチーム力は急落する。

アトレティコの3人は、CBサヴィッチ、MFマルコス・ジョレンテ、FWルイス・スアレス。サヴィッチはもともとボールを跳ね返す力でリーガ有数なところに、今季は3バックの長所を生かして前へボールを持ち上がり、攻撃の起点としても機能。ジョレンテは今リーガで一番スピードとスタミナがあり、前のスペースへ走り込まれると最も怖い選手だ。スアレスの少ないタッチのシュートが優勢を勝ち点に変える。
期待の1人はジョアン・フェリックス。才能だけならチームNo.1で、シメオネとの衝突がプラスになれば……。

バルセロナの3人(メッシは別格なので省略)は、CBアラウホ、MFデ・ヨング、MFペドリ。アラウホのスピードと高さと強さはカウンター対策に不可欠。デ・ヨングは3バック時の抜群のボール出しと4バック時の2列目の飛び出しでいずれも決定的な仕事をする。ペドリは最小限のタッチと移動で周りを動かす。プレーの先が読めているサッカーセンスの塊。
期待の1人はグリーズマン。忠実な守備は計算できる。消えていても1つのキックで局面を変える持ち味を発揮し始めている。

レアル・マドリードの3人は右SBルカス・バスケス、MFクロース、FWベンゼマ。バスケスは長距離を走れ、背後に穴を開けない。センタリング&ドリブルにも自信が出てきた。クロースのサイドチェンジがサイドアタッカーを動かし攻撃のスイッチを入れる。トップ下兼CFのベンゼマは崩してフィニッシュするアタッキングサードのすべて。
期待の1人はヴィニシウス。単独打開に頼るチームの象徴で、センタリング&シュートの精度は上がる一方だ。

分析点④日程。直接対決を2試合残すのは?

直接対決のレアル・マドリード対バルセロナ(4月10日に決定)、バルセロナ対アトレティコ・マドリード(5月9日予定)は今から赤丸でチェックしておくべし。残り試合の顔ぶれを見て、どこが有利・不利かということになると、この両試合に絡むバルセロナから話を始めないといけない。ライバルを直接蹴落とし、蹴落とされる可能性がある彼らのカレンダーが一番厳しい。

バルセロナの直接対決以外の要注意試合は、今週末(21日)のアウェーでのレアル・ソシエダ戦。同じくアウェーでのビジャレアル戦(4月25日予定)はエメリ監督が弱気にならなければという条件で。国王杯で敗退寸前に追い込まれたグラナダ(4月28日予定)も嫌な相手だ。
アトレティコ・マドリードのバルセロナ戦以外の要注意試合は、まずアウェーでのセビージャ戦(4月4日予定)。次にマルセリーノ・ガルシア・トラル監督になって強くなったやはりアウェーのアスレティック戦(4月25日予定)、さらにレアル・ソシエダ戦(5月12日予定)。ソシエダ戦はバルセロナとの決戦からわずか3日後だから、良くも悪くも影響を引きずっているだろう。
クラシコを除くレアル・マドリードの要注意試合は5月に集中している。まずセビージャ戦(5月9日予定)、翌週にスーペルコパの準決勝で敗れたアウェーでのアスレティック戦(5月16日予定)、さらに最終節がビジャレアル戦(5月23日予定)である。

以上、強豪との対決という観点で難易度を判断したが、3強とも中下位勢相手の取りこぼしが意外と多い。
苦戦した相手との試合という意味では、アトレティコ・マドリードならウエスカ戦(アウェーで引き分け)、バルセロナならヘタフェ戦(アウェーで敗れる)とバレンシア戦(ホームで引き分け)、レアル・マドリードならオサスナ戦(アウェーで引き分け)とカディス戦(ホームで敗れる)もチェックしておくべきかもしれない。

photo by Getty Images
text by 木村浩嗣

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