スペインで5シーズン目を戦い終えた乾貴士と、バルセロナの黄金期を築いたレジェンド、カルラス・プジョルが特別対談!

  • 2020/08/28

乾貴士とカルラス・プジョルの特別対談!

乾貴士がエイバルの地を踏むちょうど1年前、スペインのサッカー史に名を刻んだひとりのディフェンダーが現役引退を決意した。

カルラス・プジョル・サルフォカーダ。
生涯にわたりバルセロナのユニフォームを着続け、ピッチの上ではいつだって120%を出しきった。相手フォワードと激しくぶつかりあい、幾千の手厳しいタックルを見舞ってきた彼だけれど、そのプレーの奥には常にフェアな精神が宿っていた。どこまでも熱く、どこまでもクリーンな闘将だった。
そんなプジョルの姿を、まだ小学生だった乾は遠く日本からテレビ画面越しに眺めていた。ポジションは全く違うけれど、なぜだろう、その真っ直ぐな姿勢に不思議とひかれた。

プジョルの存在は、乾がバルサとスペインを好きになった理由のひとつだった。
やがて時がたち、2020年の乾は32歳を迎えた。32歳というのはプジョルが南アフリカの地でワールドカップを掲げ、世界の頂点に立った年齢でもある。

2019-2020シーズンを終えた翌日の朝、乾はバルセロナへと向かっていた。
幼い頃、目に焼き付けた闘将の姿を思い浮かべる。あふれでる質問の数々が胸に渦巻いていた。

—悔いの残るシーズンを経て挑む6年目の戦い—

プジョルとの対談前日、ビジャレアルの地で乾はシーズンを終えた。
ベティスからエイバルに戻った昨季、乾は買い戻してくれたクラブに恩返しをするという強い気持ちで挑んだ。29試合に出場し2ゴール4アシストという結果を残し、エイバルの残留に貢献した。
しかし、その胸にあったのは残留を決めた満足感だけでなかった。
「もっとチームに貢献したかった。特に攻撃面で得点に絡むプレーをしないといけない」

それでも、スペインでの彼の足跡は今では138試合という数字になりこの地に刻まれている。いま目指すのは日本人選手として前人未踏のスペイン1部リーグ200試合だ。
プジョルというスペインを知り尽くしたレジェンドに話を聞くことは、これからの自分を考える意味でも大きなイベントだった。

—それぞれの思い。いざ対面へ—

待ち合わせの場所はバルセロナのバイカルカ地区にある静かなスタジオだった。グエル公園にほど近い、緑豊かな落ち着いたエリアだ。
少し早く着いた乾は、小さなカフェテリアに入りコーヒーを注文した。その表情に、どことなく緊張が漂う。
トルティーリャ・フランセサ(フランス風オムレツ)のサンドイッチを頬張りながら、聞き方や内容を振り返る。胸の高鳴りが聞こえてくるようだった。
その頃、プジョルもそう遠くない場所で朝のコーヒーを飲んでいた。トレーニングはいまも欠かさないのだろう。体型もしっかりと維持されており、あの巻き髪も昔のままだ。
店員に写真撮影を頼まれ、プジョルは肩を組んで気軽に応じた。引退して6年が経ったけれど、今でもこの街のレジェンドだ。

カウンターに立ったプジョルは乾について思いを巡らせていた。
「わざわざバルセロナまで会いにきてくれるということで、彼のプレーを改めて見かえしてみたんだ」と彼は言う。
「印象としては、やはり技術的にとても優れた選手だ。カンプ・ノウでのバルサ戦の2ゴールはもちろん、それ以外にエイバルで見せるプレーも含めてね」
約束の時間がやってくる。プジョルはスタジオまでの小道を歩きながら、最後まで乾のキャリアを思い返していた。

乾貴士とカルラス・プジョルの対談の様子

—かわされる言葉。乾が聞きたかったこと—

プジョルがスタジオの階段を降りてくる。ふたりは笑顔で握手をかわす。ゆっくりとソファに腰掛け、スペイン語での会話がスムーズに始まった。「スペイン語は少しだけ」と謙遜する乾だが、もちろんプジョルが話すことはすべて理解している。
対談前、乾がぜひ聞きたいと言っていたことがあった。いまも彼の記憶に残るひとつのシーンだ。
それは元バルセロナのルイス・フィーゴがレアル・マドリードへ電撃移籍したシーズン、カンプ・ノウにはじめて戻ってきた試合での一幕だ。
カンプ・ノウはフィーゴに物を投げ、激しいブーイングを浴びせるバルサファンで埋まった。フィーゴのマーカーだったプジョルは、加熱しすぎたファンやチームメイトを自ら止めていた。その光景は幼かった乾の目に焼き付いた。

「あのクラシコもそうだけど、気持ちが入ってる中で味方がファウルされたり、もめているところを止めに行くのも一番はプジョル。なんでそんなに冷静になれるのかが知りたくて・・」
そう乾が聞くと、プジョルは丁寧に答えた。

「前シーズン、私はフィーゴと一緒にプレーする機会に恵まれ、いろいろと助けてもらいました。あの時は敵味方に分かれていたけれど、フィーゴとは良好な関係で、友人とも言うこともできたんです」
「これも私の性格ですね。情熱的で常に100%の力でプレーしながらも、スポーツマンシップに反することや、自分たちのチームの助けにならないことはできるだけ試合から排除したいのです。プレーに集中したいし、チームメイトたちにもそうしてほしい。それにトラブルは私たちに不利になるんです。ボールが動いている時間が長ければ長いほどバルサにとっては有利で、勝利が近づいてくる。それをチームメイトたちに伝えようとしたのです」

勝負や結果を超えたところにあるプジョルの考え。耳を傾ける乾の奥深くに、その言葉の数々が染み入っていくようだった。
そして乾のプレー映像を見ながら質問をするプジョルがいる。これまでとこれからを語り合うふたりのサッカー談義はそうして進んでいった—。

カンプ・ノウに立つことを夢見て、そしてカンプ・ノウでサッカー人生を劇的に変えた2人が、今初めて出会い語ることとは…。乾貴士とカルラス・プジョルの特別対談は、8月30日(日)午後2時〜WOWOWライブにて放送する。

text by 豊福 晋



◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

8/30(日)午後2:00 WOWOWライブ
『乾貴士×カルラス・プジョル ~夢の舞台、カンプ・ノウに魅せられて~』

9/5(土)よる7:00 WOWOWプライム※無料放送
『新時代に輝くヒーローを探せ!ラ・リーガ開幕直前生放送スペシャル』
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