「なんで、豚の頭を持ってくるんですか?」女子高生にクラシコのヤバさを解説した(後編)

  • 2019/02/28

「別格のヤバさ。フィーゴ、禁断の移籍」

——後編は、「クラシコ激ヤバ事件簿」と題してお送りします。
(前編はこちら

鈴木「すでに結構ヤバかったと思います(笑)」

——なるべくバイオレントなやつはないようにします。が、まずこれは外せないところでいうと、前編で出てきた「豚の頭が投げ込まれた」事件です。ルイス・フィーゴが2000年7月、バルセロナからレアル・マドリードへの移籍を果たしたことがきっかけでした。移籍金の額は6,000万ユーロ(当時のレートで約60億円)で、当時の世界最高額でした。

鈴木「すごい額が動いたんですね……」

——実際は、金額以上にとてつもない負のインパクトがありました。例えば移籍が発表されたあと、フィーゴがバルセロナ市内で経営していた日本料理屋が怒れるバルサファンに襲撃され破壊されたという話もあります。

鈴木「なんか、日本人としても悲しいですね。こんなことがあったら、選手間でも『えー』ってなったでしょうね」

——「そんな移籍ありかよ」みたいな。実際、アリかナシかと言えばナシだったからこれだけの波紋が生まれてしまった。そして、フィーゴが移籍したあともクラシコは行なわれるわけですね。

鈴木「すごいメンタルですよね。そんな中で試合に出るなんて」

——おっしゃる通りです。僕ならまず出ない(苦笑)。中でも、フィーゴにとってレアル・マドリード移籍後2度目となったカンプノウでのクラシコは壮絶の一言でした。

鈴木「(資料映像を見ながら)すごいですね、これ『フィーゴ対バルセロナ』ってタイトルがついてます」

——レアル・マドリードがコーナーキックを取ったら、キッカーのフィーゴがコーナーフラッグに向かうんですね。そこに、大量のモノが投げ込まれたわけです。ゴルフボールとかウイスキーのボトル、携帯電話、固いものなら何でも。

鈴木「当たったら無事じゃすまないですよね……」

——あまりの状況に、バルセロナの当時のキャプテンであるプジョルが「落ち着け、投げ込むのを止めろ!」とジェスチャーしますが効果なし。結局、安全が確保できないので10分間試合が中断されました。その時に、豚の頭が投げ込まれている様子が映ったんですね。

鈴木「そもそも、なんで持って来てるんですか??」

——えー、鈴木さんは最短距離で正しい疑問を抱いています。全くその通りだと思います。回答するなら「投げるため」以外に答えようがありません(苦笑)」

鈴木「なんで豚の頭を選んだんでしょうね……」

——正確なところはわからないのですが、豚の頭は(権力)闘争の象徴という話もあるみたいですね。ほか、「守銭奴」として大量のニセ札もばらまかれたようです。そして重要な疑問、「なんで持ち込めるの」ですよね。前編でもペットボトルのキャップを取らないという話がありましたが、要はセキュリティが黙認してるわけです。

鈴木「セキュリティの人たちも、フィーゴに対する気持ちは同じだ、と」

——これは、クラシコのエピソードの中でもかなり別格です。実際、これはいまだに尾を引いていて、フィーゴが現役引退した後の2016年にもSNS上で事件が起こっています。クラシコの前に、フィーゴがレアル・マドリード時代のユニフォームを持ってツイートしたら大炎上したんです。

https://twitter.com/LuisFigo/status/716320237306712064r

鈴木「(ツイートのリプライ欄を見ながら)うわ、ひどい。これ、バルセロナのサポーターがやってるんですね」

——そう、札束の写真とか。「お前は金で俺たちを裏切った」という。

鈴木「よく生きていけますよね、毎日警備員に囲まれてるんですかね。フィーゴさん、もうバルセロナには行けないですよね……」

「レアルファンも脱帽した、ロナウジーニョ」

——「負」の意味ですごかったのがフィーゴの事件だとすると、「正」の意味ですごかったのが2005年のクラシコにおけるロナウジーニョのスーパープレーだと言えるかもしれません。まあ、レアル・マドリードにとってはコテンパンにやられたので「正」というのは語弊がありますが。

鈴木「ロナウジーニョの活躍で、3-0で勝ったんですよね」

——そうです。当時、ロナウジーニョはまさに全盛期でした。論より証拠として、資料映像をご覧ください。

鈴木「(映像を見ながら)はやっ! すごいスピードの選手ですね」

——そう、とんでもなく速いんです。あっという間にレアル・マドリードのDFをぶっちぎって2ゴールを決めてしまいました。抜かれたのは、みんな世界最高クラスのDFばかりですよ。

鈴木「みんな何が起きてるのか、わからないぐらい速いですね。すごい。みんな追いつけない」

——あまりにすごいものだから、得点を決められたレアル・マドリードのファンがスタンディングオベーションでロナウジーニョを称えたんです。こんなこと、めったにないです。

鈴木「レアル・マドリードの選手からしたら、たまったもんじゃないですね……」

——当時レアル・マドリードでプレーしていたミチェル・サルガドは、このシーンを振り返って「クラシコで最悪の思い出だ」と述懐してるほどです。対立しているチーム同士の試合で、自分たちのファンが、相手選手にスタンディングオベーションするわけですからね。

鈴木「すごいです」

——よかった、ようやくポジティブなエピソードを紹介できた(苦笑)。

「お前の顔の前で爆発しろ!」

——さて、ここからは前回同様、パネルを選んでいただく形になります。

鈴木「これですね。『絵文字の意味は?』」

——これは、バルセロナのピケが2015年にツイートしたものです。レアル・マドリードが、あるカップ戦で使っちゃいけない選手を使ったんですね。それで、試合は勝ったけれども規約違反で負けにされるかもしれなくて。そのタイミングで、ピケがツイートしたんです。これは、確実にレアルをバカにしてるなと。

鈴木「困ってるレアルファンの人たちを、笑ってバカにしてるということですか? みんな、それでわかっちゃうんですね」

——そうです。で、物議を醸して炎上しました。

https://twitter.com/3gerardpique/status/672176304045838337

鈴木「でも、別にそれで謝ってるわけじゃないんですよね? すごい選手なのに、ファンを煽りにいくなんてびっくりです。これも、クラシコの話ですよね?」


——そうですね。クラシコの言わば場外戦とでも言いましょうか。次はどれにしましょう?


鈴木「お前の顔の前で爆発しろ!」


——これは、元バルセロナのバルトラという選手が、バルセロナの勝利を祝う意味のツイートをしたんですね。そうしたら、レアル・マドリードのファンから「お前の顔の前に爆弾を持っていく」という意味のリプライが殺到したんです。

https://twitter.com/marcbartra/status/856246990832848902

鈴木「えええ……」

——どういうことかというと、このバルトラという選手はバルセロナから先ごろ紹介したドルトムントに移籍したんですが、2017年4月11日に爆発事件に巻き込まれて右手を骨折する大ケガをしたんです。


鈴木「それは、選手がバスに乗ってる時ですか?」

——そうです。亡くならなくて本当に良かったんですけど、怖い思いをして。先ほどのリプライは、そういう経緯がある選手に向かってレアル・マドリードのサポーターが言ったわけです。


鈴木「最悪だぁ」

——いやーこれ、説明した僕が最悪な奴みたいになってますね……。

鈴木「そんなことないです!(笑) これ、いいねとRTすごくついてますね」

——そうです、全世界から反応が来てます。

鈴木「喜びの『やったー!』もあるけど、『くそーっ』て方もあるってことですよね」

——そうですね。これ、バルトラも煽ってますからね。こういうツイートしたら、レアルファンが何か反応することぐらいわかりますから。

鈴木「でもこれ、記事にしちゃったら、これを書いた人がちょっと喜んじゃう気がするんですよ。豚の頭のやつも、取り上げたら豚の頭を投げた人が「やってやった」と思っちゃわないですか?」

——そうかもしれません(笑)。まあ、豚の頭は当時インターネットがまだ普及し切ってない頃でも全世界で取り上げられたので。めちゃくちゃ有名です。


鈴木「そうなんですね!」

——さすがに豚の頭を投げ込む、なんて聞いたことないですから。でも、もしフィーゴの時代にSNSがあったら。移籍した直後にレアルのユニフォームをTwitterに上げたら、1,000万リツイートぐらい行ったかもしれません。それこそ、ZOZOTOWN前澤社長の記録をあっさり塗り替えたかも。

「PK判定をめぐって、ピケとラモスが……」

——次の話題に行きましょう。

鈴木「じゃあ、「PK判定でバトル!」でお願いします」

——これはさっき出たバルセロナのピケと、レアル・マドリードのセルヒオ・ラモスという選手同士の、SNSが発端となったバトルです。両チームの関係性はすでに説明した通りですが、加えてピケはカタルーニャ独立を支持している選手で、事あるごとにそれを公言しています。だから、レアルのファンからは特に目の敵にされています。 で、この件は、バルセロナとレアル・マドリードがそれぞれビジャレアルと対戦した時の判定の違いを、ピケがわざわざ画像を探してきて「同じチーム(ビジャレアル)との対戦なのに(こんなにも判定が違う)。これらは全部、マドリードのメディアによる報道だ」と言いまして。それに対して、セルヒオ・ラモスが噛みついたんです。

https://twitter.com/3gerardpique/status/835971296093687809

ピケの主張についてどう思うか聞かれたセルヒオ・ラモスは「こういうことをメッシが言ったとしたら驚くよ。でも、ピケだから。彼の世界では、自分にとって不都合はことはすべて陰謀になるってみんなもう知ってるだろ」って煽り返して。そうしたらこの2カ月後、2017年4月のエル・クラシコでセルヒオ・ラモスが退場になるんですけど、セルヒオ・ラモスはピッチを去る前にわざわざピケのところに行ってサムズアップしたんです。レアル有利の判定ばかりだって非難していたピケに対して、「お望み通りの結果になったな」って皮肉を込めて。

鈴木「どっちが良いんですかね。SNSだと炎上しちゃいますしね。盛り上がるところは盛り上がりますけど、やっぱりSNSでマイナス発言するのは怖いですね」


——鈴木さんのTwitterは8.1万人のフォロワーがいますけど、SNSを使う上で気をつけていることはありますか?
※鈴木さんのTwitterアカウント

鈴木「なんでしょう。炎上とかがあるので、自分の写真に写りこんだ後ろの人とかはぼかすようにしています。それは、マネージャーさんにすごく言われてます」


——今の話を聞いてても、twitterよりもInstagramやった方が良いですね……と拝見したらさすが。Instagramアカウントも8.1万フォロワーいるんですね、すごい。
※鈴木さんのInstagramアカウント

鈴木「それにしても奥深いですね。ピケ選手は、自分で記事引っ張ってくるなんて。相当怒ってますよね」

——「これが証拠だ!」と言って。

鈴木「あれ、証拠になるんですか?」


——なるかは正直わからないですけど、そう主張したいぐらいなんですよね。次のエル・クラシコでは、ぜひ選手のTwitterにも注目してみてください。

——ところで、鈴木さんの好きな選手はスアレスだと伺いました。エル・クラシコとは直接関係ないですが、スアレスの噛みつき事件ってご存知ですか?

鈴木「えっ、リアルで噛みついたんですか? SNS上じゃなくて?」

——リアルの方です。文字通り、相手に噛みついたんです。

鈴木「えええ……いつのことですか?」

——キャリア通算で3回ぐらいやっちゃってます。中でも世界的に有名になったのは、ブラジルワールドカップでのイタリア代表のDFキエッリーニに対する噛みつき。全世界にその映像が配信され、彼は9試合の代表戦出場停止、4カ月のサッカー活動禁止、罰金も受けました。

鈴木「どうしてそんなことをしちゃったんでしょうね……?」

——高ぶってしまったんでしょうけどね。本人の自伝では、「噛みつきは無害に近い行為なんだ」とかよくわからないことを言っていますが。

鈴木「怒って、ということですか? ワイルドですね。ワイルドというのが正しいのかわからないですけど・・・」

——噛みついたのはクラシコじゃないですけど、熱くなっちゃうんですよね。

「SNSでもこんなに熱いなんて驚きです」

——駆け足でいろいろなエピソードを紹介しました、印象に残っているものはありますか?


鈴木「やっぱり、フィーゴの豚の頭ですね。そもそも、なんでレアル・マドリードに行っちゃったんですかね」

——当時、レアル・マドリードの会長に辣腕のフロレンティーノ・ペレスという人が就任したんですね。彼はルイス・フィーゴ獲得と、当時抱えていた巨額の借金清算を公約に掲げて当選しました。ちなみにその後、ペレスは毎年1人ずつスーパースターを獲得してジダン、ベッカム、ロナウドといった当時の超・スーパースターをずらっとそろえたんです。

鈴木「すごいですね……。あとは、ペットボトルがキャップOKで持ち込まれたエピソードですね。なんで黙認しちゃうんですかね」

——やっぱり、クラシコの雰囲気ってものすごいですからね。ボールボーイも、例えばレアル・マドリードのホームでバルセロナが負けてたとしたら、わざとゆっくりボールを返したりとかは全然ありますね。


鈴木「時間をちょっとでも進めようとしてるんですね」

——そうです。あと、バルセロナをイライラさせようとしているんですね。逆に、レアル・マドリードが負けていたら急ぐとか。そういうの、子どもたちにも染み付いているんです。

鈴木「へえ…ずるいなあ(笑)。あとは、プラスの話で『ロナウジーニョへのスタンディングオベーション』ですね。こんなにも熱くなる試合なんだな、と改めて思いました。やっぱり、こういう話を聞くと見方が変わりますね。バルセロナが得点を決めたらサンティアゴ・ベルナベウは静かになっちゃうのかな、とかいろんな意味でハラハラします」


——大げさでなく、当事者にとっては生き死に匹敵するぐらいの熱さが込められているのがクラシコなんですね。なので、今回紹介させていただきました。


鈴木「でも、ケガ人などなく、盛り上がってほしいですね……」

——最後に何か言い残したことはありますか?

鈴木「そうですね、みなさんの勝利予想はなんですか?」

——バルサ勝利ですね。2-1とかにしておきます、無難に。

鈴木「私もそうしました」

——今回の取材を踏まえて、現在『リーガダイジェスト!』の中で担当されている「SNS de LaLiga」の今後に活かしていきたい部分はありますか?

鈴木「SNS上でもあれだけ試合に対しての熱を持って、盛り上がっているのは本当にすごいです! 私にとってもSNSは身近な存在なので、そういうところから情報を取り入れられるのは自分としても嬉しいですし、スペインサッカーを身近に感じられました。これだけ熱いものが、SNSでも出ていたというのを覚えておきます」

——ありがとうございます! 今後もクラシコを、そしてサッカーそのものを末永く愛してもらえたらうれしいです。

取材・文 澤山大輔
編集 久保佑一郎(footballista編集部)
写真 藤井隆弘

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