【木村浩嗣コラム】乾は何番目の選手か?ポジション別チーム内の序列と“下剋上”の可能性

  • 2019/01/12

text by 木村浩嗣

前回のコラム(柴崎は何番目の選手か?ポジション別チーム内の序列と“下剋上”の可能性)の執筆後、柴崎の序列に悲しい変化があった。乾の話題に入る前に、そのことに触れておきたい。
年内最終試合(第17節)の招集リストに柴崎の名前はなかった。なぜか?ケガで今シーズン絶望のアマットの代役としてサム・サイスを獲得したからだ。これで「今後は①柴崎、②ポルティージョ、③ロベル・イバーニェスで回していくのではないか」という私の観測は外れ。左サイドの序列は①サム・サイス、②ポルティージョとなり、③の柴崎は控えの控えに逆戻りで出場は非常に難しくなった。アジアカップ招集で1月不在になるという事情を考慮し、ホセ・ボルダラス監督は実質的に柴崎を放出要員にした、と結論せざるを得ない。リーガ内での移籍の噂があるので、ぜひ他のチームでの巻き返しに期待したい。

乾貴士、「ベティス」内での序列

さて、乾だ。
新年初戦の招集リストに彼の名前はなかった。キケ・セティエン監督によると「招集されるはずだった」が、練習中に足に違和感を訴えたらしい。もし体の不調がなければ招集リスト入りはしていたが、出場できていたかどうかはわからない。リーガではバルセロナ戦を最後に、5試合連続で招集されながら出場ゼロが続いていたからだ。

招集リストは18人で構成される。このうち11人が先発メンバーでベンチは7人。3つの交代枠をすべて使ったとして14人の出場が可能。それで出場できていないということは、乾の序列は15番目以降18番目以内であるということだ。戦力として計算はしているものの、先発でも通常の交代要員でもなく、“絶対に点が欲しい、という非常時のために置いておきたい選手”という位置づけだ。

もっとも、これはクラブが最優先としているリーガでの序列である。優先順位が低いコンペティションでは序列が上がってくる。ローテーションをして主力を休ませる必要があるからだ。例えば、コパ・デル・レイ(国王杯)のラシン・サンタンデールとの2試合ではいずれも先発しプレー時間は180分中169分と、レギュラー扱いをされている。ELの第6節、勝ち上がりが決定済みで優先順位が低かったデュドランジュ戦でも先発フル出場だった。
大まかに言うと、最も優先順位の低い「コパ・デル・レイではレギュラー」、最優先の「リーガでは非常時の交代要員」、その間にある「ELでは通常の交代要員」というのが、今シーズンここまでの乾の序列ということになる。

ポジション別に見ていこう。
フォーメーションには[3-4-2-1](こっちがメイン)と[3-4-1-2]の2つがあるが、乾が使われているのはいずれも2列目のトップ下的なポジションだけ。このポジションの序列は①ロ・セルソ、②カナーレス、③ホアキン、④乾、⑤ブドゥブズ。[3-4-2-1]の場合は2枠を、[3-4-1-2]の場合は1枠を、この5人で争う狭き門である。いずれも4番目の乾は1枠での出場は絶望的、2枠の場合ですら交代要員で3番目のホアキンが入ると、ベンチを温めたまま試合終了となる。
ただ、ロ・セルソとカナーレスは3列目で両者、あるいは片方がプレーする場合もある。そうなると乾の序列は1つまたは2つ繰り上がるのだが、クラブのレジェンド、ホアキンの次という序列は変わらない。

ホアキンと乾がウォーミングアップしている。どっちが入るか?そういう時にキケ・セティエン監督が選ぶのは必ずホアキン。ホアキンが先発した試合で乾が彼の交代要員として入る、というパターンはあるが、ホアキンを差し置いて乾が先発するというパターン(9月のセビージャ・ダービーがまさにこれ。あの時点では乾の序列が上だった)は、ここ最近の試合では記憶にない。トップ下でホアキンと乾を併用するというパターンもないわけではないが、どうしても得点が欲しいという緊急事態でしか使われていない。言葉は悪いがホアキンが目の上のたんこぶとなって、乾の出場機会を奪っている、というのが現状なのだ。
そして、これが今のところ乾の序列のすべてである。他のポジションでプレーする機会は与えられておらず、序列に組み込むことができないのだ。同じ攻撃的MFであるロ・セルソ、カナーレスには3列目でプレーするオプションがある。が、ホアキン、乾、ブドゥブズにはない。おそらくボールロストの多さを懸念しての判断だろう。

その3列目の序列は①ウィリアム・カルヴァーリョ、②グアルダード、③カナーレス、④ロ・セルソ、⑤カプトゥムとなっていて、1ボランチであればウィリアム・カルヴァーリョ、2ボランチであれば相棒にグアルダードが選ばれる。ロ・セルソ、カナーレスはトップ下として先発、試合展開によって3列目に下げる、あるいはその逆、という使い勝手の良さがある。交代枠を使わずゲームプランを変えられる選手の序列が上になるのは、監督の視点からすれば当然だろう。

左ウインガーとしての可能性

乾のスピード突破力は傑出している。前を向いてボールをもらい加速すれば誰にも止められない。だが、狭いスペースで短いパスのやり取りで崩すグアルダード、カナーレス、ロ・セルソの器用さはない。ロングボールの精度もカナーレスとホアキンにはかなわず、空中戦での怖さもない。スピード突破という“一芸”を、背中に張り付いて反転させないというやり方で封じられれば、応用が利かない。そのポジション的、攻撃バリエーション的な狭さが、乾の足かせになっている。

ケガ人や出場停止が出れば、主力が休養すれば序列が上がるのは、すでに述べた通り。3つのコンペティションを戦い続ける限り、出場機会を失うことはない。だから今は我慢しかないのだが、少々空想めくが一気に下剋上ができないわけではないとは、個人的には思っている。

キケ・セティエン監督に聞いてみたい。乾を左ウインガーとして使うオプションはないのだろうか?
このポジションの序列は①ジュニオル、②テージョで3番手以下はいない、という状態だったが、ジュニオルが負傷。今はテージョがレギュラーで、控えには右ウインガーでレギュラーのフランシスが回される、という緊急事態となっている。
ここに乾という選択はないのでしょうか、監督?ボールのないところでの守備は乾の方が上だし、テージョができるなら乾だってできる、と私は思うのだが……。

※このコラムを書き上げた後に急遽、乾のアジアカップ招集が決まった。キケ・セティエン監督にとっては痛い離脱。日本代表での序列がどうなのかはわからないが、出場機会を得てベティスでの序列アップへのきっかけにしたい。代表でもベンチ生活だとベティスの乾にとって招集はマイナスでしかない。

文:木村浩嗣

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