【木村浩嗣コラム】柴崎は何番目の選手か?ポジション別チーム内の序列と“下剋上”の可能性

  • 2018/12/20

text by 木村浩嗣

どんなチームにも序列というものがある。開幕から4カ月もするとレギュラー、準レギュラー、ターンオーバー要員、戦力外ぎりぎり……といった格付けが見えてくるものだ。“チームを固める”というのはフォーメーションや戦い方を定めるのと同時に、顔ぶれを定めることでもある。もし、今の時点でベストメンバーが固まっていないとすれば、4カ月の練習と実戦の成果を疑った方が良い。

——こう書くと、序列は何か不動のもののように響くがそうではない。確かにレンガを積み上げるがごとく、実績を重ねるたびに強固になってはいく。しかし、逆にメンバーを固定し過ぎると油断や弛緩が生まれる。名監督とは、調子の良い者、成長した者を抜擢し序列を変え続ける勇気を持つ者のこと。チーム内競争があり、常に下剋上が可能なチームこそが活性化したチーム、後半戦を戦い抜く勢いを持つチームということになる。

リーガ、劇的なチーム内の序列変動

今シーズンここまでのリーガで劇的に序列が変わった例が3つある。 1つはバルセロナのアルトゥールとアルトゥーロ・ビダルの例。クラシコでも先発、“シャビ2世”と絶賛されたアルトゥールにレギュラーの座を奪われたビダルは、SNSで不満を爆発させるだけだった。だが、11月下旬ライバルのケガに乗じて先発起用されると、今はビダルがすっかりバルベルデ監督のお気に入りになった。

2つ目の例、レアル・マドリードのカゼミ―ロとマルコス・ジョレンテの序列が入れ替わったのも前者のケガが原因だった。冬の移籍市場で放出も噂された“戦力外”が、絶対的なレギュラーに代わって絶賛されることになろうとは、1カ月半前までは想像もできなかったことだ。

3つ目が同じレアル・マドリードで急転落したイスコの例である。レギュラーの座から一転ホームのファンからブーイングを浴びる存在になってしまった。9月下旬に虫垂炎になり戦列を離れたのも不運だったが、彼の場合はジュレン・ロペテギからサンティアゴ・ソラーリへの監督交代が逆風になった。ポゼッションサッカーの前監督にとってはボールキープに不可欠の存在だったイスコは、今やカウンターサッカーを目指す現監督によって“ボールを持ち過ぎる選手”というレッテルを貼られてしまった。

「ヘタフェ」柴崎岳、下克上の可能性

さて、ここまでの予備知識を持ってもらったところで、今回と次回の2回に分けて日本人選手2人のチーム内の序列を明らかにし、思うように活躍できなかった理由と、今後の下剋上の可能性を探ってみたい。

まずはヘタフェの柴崎岳から。
今シーズンのリーグ戦、ここまで(第16節終了時)の先発わずか2試合、出場時間186分という成績はまったく不本意なものだった。
柴崎のプレー可能なポジションは4つある。それぞれの序列を見ていこう。
まずは[4-4-2]のセカンドトップ。
昨シーズンケガをするまで華々しい活躍を見せたポジションだが今シーズンは事情が違う。2018年の夏に点取り屋のハイメ・マタ、セルジ・グアルディオラを補強しここに攻撃的なMFが割り込む余地がなくなってしまったのだ。
2トップの序列は以下の通りだ。①ホルヘ・モリーナと②アンヘルが絶対的なレギュラーで③ハイメ・マタが控え。序列の4番目は点を取りに行く場合は④セルジ・グアルディオラで、ボールをキープし守り切る場合は④ポルティージョか柴崎。いずれにせよ3枚の交代枠のうち2つをFWに使うのは考えにくいので、柴崎に出番が回ってくる可能性は極めて低い。

2つ目のプレー可能なポジションは2ボランチ。
昨シーズンまではボランチの1枚に柴崎のような攻撃的なMFを使うオプションもあった。だが、すでに言ったように、今シーズン2トップの攻撃力が上がった関係で、もともと守備重視だったこのポジションの人選がさらに守備的にシフトしてしまった。
ボランチの序列は以下の通りだ。①マクシモヴィッチと②アランバリが絶対的なレギュラー、控えが③クリストフォロ。柴崎はここでも④でありやはり出場は難しい。

3つ目のプレー可能なポジションは右サイド。
ここの絶対的なレギュラーは①ポルティージョ、②が右SBからコンバートをされたディミトリ・フルキエ、③がイバン・アレホ。昨シーズンはこのポジションでポルティージョの控えだった柴崎は、今シーズンはここでまったく使ってもらっていない。

最後のポジションである左サイドが、一番希望がある。絶対的なレギュラー、アマットが第15節で今シーズン絶望の大ケガを負ったことで序列に変動があったのだ。
それまでは、控えが②ポルティージョ、③がロベル・イバーニェス、柴崎は④だという順番だったのだが、第16節の先発メンバーにはなんと開幕R・マドリード戦以来となる柴崎の名前があった。実は第15節ケガをしたアマットに代わって入ったのはポルティージョだったが、出来が悪かった。それを見てホセ・ボルダラス監督はポルティージョと柴崎の序列を入れ替えたのだろう。

この試合、柴崎は今シーズン一番の出来だった。よく走り献身的にプレスをかけ、少ないタッチでカウンターの起点にもなっていた。ボールロストが少なくインターセプトが多かった点は、守備を重視する指揮官に間違いなく評価されているはずだ。アマット欠場後まだ2試合なので確かなことは言えないが、今後は①柴崎、②ポルティージョ、③イバーニェスで回していくのではないか。

エネルギーの塊のようなアマットの運動量は代役3人にはないので、交代要員は常に必要だしローテーションも不可欠となるだろう。ヘタフェがコパ・デル・レイ(国王杯)でも勝ち残っていることを考えれば、柴崎の出番はさらに増えるはず……なのだが、このタイミングでアジアカップに招集されチームを離れることになった。日本代表入りは名誉だろうが本人は複雑な心境かもしれない。次節、年内最後の試合で先発を勝ち取り、ぜひ猛アピールをしておきたい。
(次回:ベティスの乾貴士について)

文:木村浩嗣

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