【野口幸司のリーガ見聞録|クラシコ編・展望】ハイレベルな主導権争いを披露したうえでの点の取り合いに期待

  • 2018/10/22

第10節「バルセロナvsレアル・マドリード」展望

リーガ・エスパニョーラの現状を、リーガ解説陣に訊くインタビューシリーズ『リーガ見聞録』。“クラシコ編”としてお届けする今回は、野口幸司氏が登場。現地10月28日に開催される大一番を占ってもらった。

——現状の両チームのベストイレブンをどう見ていますか。


難しいね。現場でコンディションなどを見ていれば、「これがベスト!」って言い切れるんだけど。ケガ人とかを考慮しないのであれば、バルセロナは、(DFラインの)真ん中はピケとウムティティで、左がジョルディ・アルバ、右はセルジ・ロベルトかな。中盤はセルヒオ・ブスケツ、アルトゥール、ラキティッチの3枚。左にコウチーニョ、右にメッシ、中央にルイス・スアレス。これしかないんだよね、実際は。

もうひとつ、デンベレを左に入れてコウチーニョを中盤で、という考え方もあるけど、クラシコで使うのは難しいかな。デンベレが好調なのは監督としては嬉しいかぎりだろうけど、ただ、デンベレとメッシを一緒に使うとなると、守備に戻る人がいなくなる。加えて、コウチーニョを中盤に入れたら、もっと後ろの負担が大きくなると思うんだよね。

クラシコ限定で考えたら、昨シーズンの基本システムである4-4-2を用いるというアイデアもなくはない。まあ、それを実際にやったときの周囲の反応は気になるところだけど。あるいは、4-3-3でスタートして、機能しなかったら後半から4-4-2に切り替えるとかね。ただそれをやった場合、今シーズンからフロントの希望で採用していると言われている4-3-3が機能していないってことを、指揮官みずから認めることになってしまうんだけどね。

——レアル・マドリードはどうでしょう?


こちらもまた難しい。最終ラインは、体調が万全なら左がマルセロで、中央にセルヒオ・ラモスとヴァランを並べ、右にはオドリオソラを入れたい。経験値とか安定感からするとカルバハルなんだけど、あの攻撃力はやっぱり魅力的だからね。

中盤はすごく難しくて、ジュレン・ロペテギがもし、いまのポゼッション・スタイルを貫くなら、僕はカゼミーロは要らないと思っている。そして、代わりに中盤の底にだれを置くかだけど…クロースもあんまり置きたくないんだよね。

ダニ・セバージョスの起用はあると思う。彼は第8節のアラベス戦も良かったからね。もっともあれは、4-4-2の左での起用だったと思うけど。クラシコでは、アンカーにクロースかモドリッチのどちらかを置いて、例えばクロースを置くなら、インサイドハーフでモドリッチとダニ・セバージョスを組ませるんじゃないかな。あるいは体調次第ではイスコをね。で、とことんポゼッションにこだわるなら、3トップの左にアセンシオを入れる形になると思う。

こっちのほうが難易度は高いけど、いい意味での化学反応が起きやすいのかなっていう気はするよね。カゼミーロをアンカーで起用するより、監督としてもいろんなプランが立てやすくなるだろうし。

カゼミーロを底に置くと、クロースとモドリッチが下がったとき、このブラジル人は前に出ていくんだよね。カゼミーロを攻撃に参加させるなら、他にもっと攻撃を得意とする選手を使ったほうがいい。逆に、完全に組み立てとかせずに、守備オンリーってなったときはもちろんカゼミーロがいいと思うけどね。

——ルカス・バスケスがあまり重宝されなくなったのは?


彼はタイプ的にウインガーで、ポゼッションフットボールを優先したときには、どうしても優先順位は落ちる。ただ、オドリオソラのところで彼を使うのはアリだと思う。負けているときとか、点を取りにいこうっていうときは、これまでもそういう使い方は何度かあったけど、思い切って右サイドバックに抜擢するのは面白いかなと思う。

ロペテギがもし、今度のカンプ・ノウでのクラシコで会心のゲームを目指すんだったら、それくらい攻撃的な布陣でいって、ぜひ勝利をつかみたいところだよね。そうすれば、チーム内のだれからも信頼されるようになるだろうし、サポーターも「あの監督は凄い!」ってなるはずだからね。

——10月28日のクラシコ、どんな試合になるでしょう?


いままで何度かクラシコの取材に行かせてもらったけど、前評判が低くて、直前の練習なんかも全然雰囲気が良くないなって思ったチームが意外と勝ったり、クラシコって本当に読めないんだよね。

ネイマールが出場停止でバルサの不利が伝えられていた2016-17シーズンのサンティアゴ・ベルナベウでのクラシコも、最後の最後、アディショナルタイムにメッシが決勝ゴールを入れてバルサが勝利を収めてしまったしね。

あれを見たとき、メッシってやっぱり凄いなってつくづく感じたよ。どんなに状態が悪くてもメッシはメッシ。絢爛豪華なレアルの選手たちが二人がかりで奪いに行っても取られないし、ほんの数秒の時間とわずかなスペースがあればゴールを決めてしまうんだから。あのときだって、彼はその前にディフェンダーとの競り合いで鼻を殴られているんだよね。鼻に詰めモノをしながら、最後にあんな形でゴールを決めちゃうんだから、メッシは本当に予測不能な選手だよ。

解説者的には説得力がなくて申し訳ないんだけど…メッシがいるぶん、今回もバルサが有利と言わざるを得ないのかな。メッシはそういう選手だから。

普通に今シーズンのここまでの流れから判断するなら、アウェーだけどレアルが有利ってことになるはず。解説者としてもそういう話ができればと思うんだけど、それでもメッシがいるだけでバルサ有利ってことになっちゃう。自分でもわかってるんだよ、バルサのほうが不安は多いって言っておきながら、でもメッシがいるからバルサ(が勝つ)っていう話が、どれだけ説得力に欠けるかをね(笑)。でも、それくらいメッシは異次元。クリスティアーノ・ロナウドがいた頃から、彼は飛びぬけて凄かったからね。

——レアルはそのC・ロナウドを失いましたが。


C・ロナウドがいなくなった影響は悪い面ばかりじゃない。レアルはいままで、C・ロナウドの守備の負担を周りの選手がカバーしていたけど、いまはみんながイーブンになった。チーム内に「特別扱い」というものがなくなったのは、ポジティブにとらえていいと思う。

とはいえ、いまのレアルが決定力不足に悩まされているのは事実。その理由のひとつが、高さだと思う。サイドからのクロスやセットプレーからのC・ロナウドのヘッドは、レアルの武器のひとつだったからね。昨シーズンまでは、単純なアバウトなクロスでもC・ロナウドの高さでゴールに結びつけられたけど、いまのレアルにあの高さはない。長身の選手を揃えているわけではないバルサにとっては、かなり楽になるんじゃないかな。

——ロペテギがポゼッション・スタイルをめざしているのはわかるのですが、ゴールの形というのがいまひとつ見えてこないというか。


見えないでしょ? 昨シーズンまではその逆で、どんなに内容が悪くても、C・ロナウドの力で勝点3を拾っていた。でもいまは、内容は良くなったけど4試合連続でゴールがなく、勝てなくなった。

——開幕当初はどこからでも点が取れるイメージがありましたが?


序盤の攻撃陣を支えていたのがアセンシオで、彼は本当にいい選手なんだけど、それこそメッシ、C・ロナウド、ベイルのようになっていくにはまだ経験とか、信頼っていうものが不足している。ただ、いいペースで成長しているのは間違いないから、こうやってチームが点を取れずに苦しんでいるときこそ、彼にはC・ロナウドばりの活躍を見せてほしいんだけどね。いまの彼は、ちょっと良い選手のままキャリアを重ねるのか、ビッグスターに化けるのかの瀬戸際に立っているよね。

——今回のクラシコでポイントになる選手は?


レアルはベンゼマ、バルサはブスケツとラキティッチ。バルサは攻撃時と守備時でシステムを変えるやり方をとっていて、その核となるのがラキティッチとブスケツなんだ。ラキティッチは本当に気を遣いながらプレーしていて、メッシの位置によってサイドバックの高さを指示したり、自分の立ち位置を変えたりしている。ブスケツとともにね。いまのバルサで、メッシに「あまり好き勝手に動かないでくれ」と言える人間はいない。監督でさえもね。だから、彼らのような調整役のパフォーマンスがチームにとってはすごく重要になるんだ。

レアルでベンゼマの名前を挙げたのは、彼こそが攻撃の中心人物だと思うから。これまでC・ロナウドのゴールをお膳立てするような動きに徹してきた彼が、今シーズンは、その役割も担いつつ、みずから積極的にゴールを狙いにいったりもしている。ストライカーとしての能力も高いだけに、周りとうまく連動できれば、ゴールを量産することも十分考えられるはず。

——いま名前を挙げた選手がうまく機能したほうが勝つと?


そのとおり。個人的には、今回はレアルのゲームになるような気がしているんだけど、過去のクラシコと違うのは、圧倒的にバルサがポゼッションで上回って、レアルがカウンターを狙うっていうこれまでの構図ではなく、どちらがポゼッションで上回るかのガチンコ対決が見られるかもしれないということ。

バルサもイニエスタが抜けて、いわゆる「心臓」と言われる選手がいなくなっただけに、これまでのようにレアルをボール支配率で圧倒できるかどうかはわからない。

——ずばりスコア予想を!


今回はお互いに守備が安定していないので、3-2かな。一昨シーズンのように、最後にメッシが決めるというような展開にはならないと思うけど、どっちか勝つとしても3-2かな。ただ、中盤がスカスカの状態での点の取り合いではなく、できれば、お互いががっちり噛み合って、ハイレベルな攻防を見せたうえでの点の取り合いを見てみたいかな。

——最後にどっちが勝つかを聞かせてくだい(笑)。


言わなきゃダメ?(笑) じゃあ、レアル。これを言って「やっぱりメッシだったなって」なったら、もうクラシコはずっとメッシとバルサの勝利を予想するしかないね(笑)。

取材・文:竹田忍(サッカーダイジェストWeb編集部)



野口幸司 野口幸司
元日本代表FW、Jリーグ1試合最多得点(5得点)記録保持者、アローレ八王子監督兼アドバイザー、WOWOW専属解説者
<選手経歴>フジタ→ベルマーレ平塚→川崎フロンターレ→名古屋グランパス→大宮アルディージャ(2000年引退)
<日本代表歴>1試合出場0得点

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