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【コラム #2】61回目のキーワードは多様性

来たる第61回グラミー賞授賞式。今回は日本時間2月11日、ロサンゼルスのステープルズ・センターで開催となる。前回お伝えしたように性別、人種、国籍など“多様性(Diversity)の重視”が考慮された今回のグラミーでは様々な内容変更が行われた。そのなかでも最大の注目は主要部門のノミネート数が5作品(5組)から8作品(8組)に増えたことだろう。主要部門は「年間最優秀レコード(Record of the year)」「年間最優秀アルバム(Album of the year)」「年間最優秀楽曲(Song of the year)」「最優秀新人賞(Best new artist)」の4部門。まさしくアメリカ音楽界がその年度において最大の評価を下した作品と候補者から成り、グラミー全84部門のなかでも最高の栄誉と位置付けられている。もちろんTVやインターネットで中継される授賞式のなかでもこの4部門の発表はマスト事項だ。そんな主要部門、それぞれの候補作品と候補者に関してはグラミーのオフィシャル・サイト等で確認して頂くとして、今回の内要変更に伴うノミネートの傾向や特徴についてお伝えしていこう。まずは「新人賞」を除く各主要部門での候補者の重複が目を引く。ケンドリック・ラマー、ドレイク、ブランディ・カーライルの3人が「レコード」「アルバム」「楽曲」。チャイルディッシュ・ガンビーノ、レディー・ガガ、シザ、ZEDDの4人が「レコード」「楽曲」。カーディ・B、ポスト・マローンの2人が「レコード」「アルバム」の候補となった。これまでにも主要部門候補者が重複するケースは幾度もあるのだが、今回はノミネート数が増えたことでより“被り候補者”が目立つ結果になった。また裏を返せば先に挙げたアーティストたち、及びその作品が“多様性を重視”した上で音楽的にも優れているという評価なのだろう。単純に賞レースの行方という点で興味深いのは、今回のグラミーの顔となった最高栄誉の3部門に名を連ねたラマー、ドレイク、カーライルに対してレコーディング・アカデミー会員の票がどう割れるのか?である。新世代HIP HOPのリーダーにして黒人コミュニティにも大きな影響力を持つラマー。カナダ出身でステレオ・タイプなアメリカ産HIP HOPとは一線を画し、賛否を呼びつつも独自なスタイルでヒット街道を驀進したドレイク。同性愛者であることを公言し、その世界観やメッセージを歌に託し大きな共感を得ているカーライル。性別や人種の割合など投票権を持つ会員の見直しもあった今回、先の3人に対してどのように票が流れるのか?それとも票が割れて他5作品からウィナーが決まるのか?興味は尽きない。ちなみに昨年のブルーノ・マーズ、一昨年のアデルと主要3部門で重複ノミネートを受け3部門全てを制覇し、授賞式の主役を勝ち取ったアーティストが続いている。またラマーもしくはドレイクのアルバムが「年間最優秀アルバム」を受賞した場合、04年のアウトキャスト以来、実に15年ぶりに同部門においてHIP HOPアーティスト作品が評価されることになるがその行方にも今回は多いに期待が持てるかもしれない。「最優秀新人賞」に関しては8組中6組が女性アーティストのノミネートとなったが、これも昨年のレコーディング・アカデミー会長の“女性軽視”発言事件を受けてのことか、グラミー改革をわかりやすく示した結果といえるだろう。ここ数年はアデルやエド・シーラン、サム・スミスなど英国人アーティストに対する評価が高いグラミーだが、この「新人賞」にもデュア・リパ、ジョルジャ・スミスという二人の英国人女性アーティストが名を連ねている。

さて、そのほか昨年日本の洋楽シーンでも盛り上がったアーティストたちはどう評価されているのか気になるところだが、グラミーのなかではポップ・フィールドと称される4つの部門(Best Pop Solo Performance, Best Pop Duo/Group Performance, Best Traditional Pop Vocal Album, Best Pop Vocal Album)を見て欲しい。これらそれぞれの部門には、テイラー・スウィフト、アリアナ・グランデ、カミラ・カベロ、マルーン5といった日本の洋楽ファンにも馴染みの深いアーティストがノミネートを果たした。なかでもテイラー・スウィフトはこれまでに2度の「年間最優秀アルバム」を手にし、グラミー10冠を誇る00年以降のグラミー・クイーンである。しかし、そんな彼女が17年11月に発表し世界中で大ヒットを記録したアルバム『Reputation』が、今回ノミネートされたのは「Best Pop Vocal Album」のみ。大前提としてグラミーでは作品のセールスがその評価に直結することはないが、今回の改革も相まっての結果なのだろうか、グラミー・クイーンへの今回の評価は全米メディアでも物議を醸している。良くも悪くも61回目にしてその伝統に大きなメスを入れたグラミー賞、授賞式では一体どんなドラマが待ち受けているのだろうか。

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