映画

悪は存在せず

４話オムニバス形式でイランにおける死刑制度の是非を問い、イランでは上映禁止処分を受けたものの、第７０回ベルリン国際映画祭で金熊賞（作品賞）に輝いた要注目作。

死刑囚の処刑を命じられ、それを拒否して逃亡を図る若い新兵。兵役中、恋人の誕生日を祝うパーティーに出席すべく休暇を取って彼女に会いに行き、そこで思いも寄らぬ事実を知って狼狽する青年など、四つのエピソードを通して痛切に浮き彫りになるのは、兵役や死刑など、国家が個人に強制的に課す制度の非情な在り方。イランの映画監督M・ラスロフは秘密裏に本作を作り上げ、第70回ベルリン国際映画祭で金熊賞（作品賞）に輝いたが、イランでは映画の上映が禁止され、監督本人も海外渡航禁止処分を受ける運命に。