映画

はるヲうるひと

個性派俳優として人気の佐藤二朗が、監督・脚本・出演を兼ねた群像ドラマ。売春宿が立ち並ぶ架空の島を舞台に、ある売春宿を営む三兄妹や売春婦たちの人間模様を綴る。

佐藤の主宰する演劇ユニット“ちからわざ”の同名舞台を、佐藤自身の監督・脚本・出演で映画化。温厚な役柄を演じることが多い佐藤だが、本作では物腰こそ柔らかいが恐怖で他人を支配する男を恐ろしげに演じている。彼扮する長兄とは母親の違う弟妹役を、山田孝之と仲里依紗が演じた。売春宿を営むこの三兄妹を軸に、そこで働く女性たち、客の男性たちそれぞれの葛藤や愛憎が群像ドラマとして綴られる。死んだように生きる人間たちがもがき闘う姿を通じて、観る者に生きるためのエネルギーを呼び覚ます作品となった。