映画

静かなふたり

パリに上京してきたばかりの孤独で不器用な２７歳の女性がどこか謎めいた古書店の老店主と不思議な心の交流を繰り広げるさまを、独特のタッチで淡々と綴った魅惑の中編。

地方からパリにやって来たものの、何かと気ぜわしい都会生活になかなかなじめずにいた27歳の独身女性マヴィ。ふとしたきっかけから古書店で働き出した彼女が、何やら後ろ暗い過去を持つ老店主と次第に心惹かれ合うさまを、「ベルヴィル・トーキョー」のE・ジラール監督が、独特のタッチで淡々と描写。フランス映画界きっての名女優イザベル・ユペールを母に持つL・シャマが、等身大の魅力で不器用なヒロインを軽妙に好演。作品の長さがわずか70分と、いまどき珍しい中編ながら、愛すべき魅力作に仕上がった。