映画

雪の轍

互いに立場の異なる複数の男女が濃密な愛憎劇を繰り広げるさまをトルコの巨匠Ｎ・Ｂ・ジェイラン監督が重厚に描き、第６７回カンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた傑作。

日本での正式な劇場公開は本作が初めてで、まださほど知られてはいないものの、ジェイラン監督といえば、現代トルコ映画界が世界に誇る屈指の巨匠。カンヌ国際映画祭では過去にも監督賞と2度のグランプリに輝いており、本作でついに念願の最高賞たるパルムドールの栄冠を手にすることとなった。トルコの国民的名優H・ビルギネル扮する尊大で偽善的な元舞台俳優を物語の軸に、その若妻や同居する妹、家賃の支払いに苦しむ間借人の家族らが3時間超にわたって繰り広げる濃密な愛憎劇の行方は、最後まで目が離せない。