映画

銀座化粧

名匠・成瀬巳喜男監督が、女手一つでひとり息子を育てながら銀座のバーで働くヒロインを主人公に、彼女を取り巻くさまざまな人間模様をしっとりと切なく描いた人情ドラマ。

戦前の無声映画時代から戦後の長きにわたって日本映画の黄金期を支えた名匠のひとり、成瀬巳喜男監督。東京の下町に生まれ育ち、昭和の庶民の暮らしと人情をきめ細やかに描くのを十八番とした彼が、本作では銀座のバーで働く中年女性をヒロインに、夜の盛り場と下町情緒あふれる路地裏での生活風景を、コントラストの妙も鮮やかに繊細に描写。溝口健二監督との名コンビでも知られる田中絹代が、女手一つでひとり息子を育てながら健気に生きるヒロインの悲哀を切なく体現。共演は、香川京子、堀雄二、三島雅夫ほか。