映画

黒水仙(1947)

イギリスの尼僧たちが伝道に赴いたヒマラヤの地で予期せぬ事態に直面するさまを鮮烈な色彩と映像美で綴り、第２０回アカデミー賞のカラー撮影・美術賞に輝いた圧巻の傑作。

M・パウエル＆E・プレスバーガーの名監督コンビが、「天国への階段」に続いて撮影の名手J・カーディフと組み、テクニカラーの色彩美を全編にわたって発揮。とりわけ、本来は聖職の身にありながら、嫉妬に燃えて自らの感情を暴走させていく若い尼僧の姿を、鮮やかな色使いで強烈に表現。また、物語の舞台となるインドへロケ撮影に赴く代わりに、英国の撮影所内に荘厳で神秘的な世界を構築した美術セットも、特筆すべき素晴らしさ。その映像魔術で観る者を圧倒する、めくるめく衝撃作を生み出した。主演はD・カー。