映画

女性の勝利

女性の自立・解放を熱っぽく説く新時代の女性弁護士に扮して、田中絹代が旧態依然たる封建的検事と対決。溝口健二監督が戦後最初に発表した“女性解放３部作”の第１弾。

第2次世界大戦後、GHQによる占領政策の一環として、民主主義を啓蒙・促進する“アイデア・ピクチャー”の製作が奨励されるなか、溝口健二監督が田中絹代の主演で連作した、いわゆる“女性解放3部作”の第1弾。長年続いた封建的家族制度の打破と、女性の自立・解放というテーマを前面に押し出した、生硬でメッセージ色の強い内容ではあるものの、溝口監督ならではの息詰まるドラマ演出や長回し撮影も随所に見られる意欲作。共同脚本を手がけたのは、新藤兼人と、小津安二郎監督とのコンビで知られる野田高梧。