映画

狂気の行方

製作総指揮Ｄ・リンチ、監督にＷ・ヘルツォークと、映画界でひときわ異彩を放つ鬼才同士がタッグを組み、アメリカで実際に起きた事件を独自のタッチで映画化した異色作。

閑静な住宅地でひとりの男が実母を殺し、何者かを人質にとって自宅に立てこもるという事件が発生。現場に駆けつけた刑事は、犯人の説得に乗り出す一方で、関係者たちから話を聞き、どこか常軌を逸した事態を何とか把握しようと試みるのだが…。通常の犯罪ミステリーとは一線を画し、徐々に事件の輪郭が浮かび上がってきても、なお全体が謎めいていて奇妙な後味を観る者の心に残すのは、まさにカルトの鬼才たる彼らのコンビ作ならでは。M・シャノン、W・デフォーをはじめ、クセモノの個性派ぞろいの競演も見応え満点。