映画

バビロンの陽光

イラクで戦地に赴いたまま行方知れずとなった息子を探すべく、孫連れで旅に出た老婆の運命を哀切に描き、第６０回ベルリン国際映画祭平和賞ほか２賞を受賞した人間ドラマ。

サダム・フセインの独裁政権の時代、度重なる戦争は多くの悲劇を生み、今なお身元不明の死者や行方不明者の数が実に100万人を超すというイラク。本作はフセイン政権崩壊直後の2003年、かつて湾岸戦争に出征したまま10年以上行方知れずとなった息子を捜すべく、ひとりの老婆が、父親の顔すら知らぬ孫を連れて旅に出る様子を切実なタッチで描写。困難な旅路の果てに彼らを待ち受ける過酷な運命が、観る者の慟哭を誘う。第60回ベルリン国際映画祭で平和映画賞とアムネスティ国際映画賞の2賞を同時受賞。