映画

月蒼くして

エンパイア・ステート・ビルで出会った男女とその周囲の人々の間で、もつれた恋愛騒動が展開。検閲をめぐる闘いで映画史上にその名を残す、記念碑的ロマンチックコメディ。

「処女」「情婦」など、主役の男女の間で当時としてはきわどい台詞が飛び交うF・H・ハーバートの同名ヒット舞台劇を、舞台の演出も手がけたO・プレミンジャー監督が、ハリウッドの従来の自主検閲制度にあえて逆らって果敢に映画化。初公開時、一部の地域では上映禁止となったものの、それがいっそう話題を煽る形となり、映画は大ヒットを記録した。今日の基準からすると、一体どこにそう目くじらをたてる必要が？　と拍子抜けするほど他愛ないお話ながら、芸達者な役者陣による軽妙な会話劇は今なお魅力十分だ。