映画

博奕打ち　いのち札

侠客の主人公が刑期を終えて出所した時、かつて深く愛した恋人は図らずも組長の妻となっていた。鶴田浩二主演の任侠映画「博奕打ち」シリーズ第１０作となる傑作悲恋映画。

「博奕打ち」シリーズといえば、あの三島由紀夫が絶賛して、それまで世間一般では冷遇視されていたやくざ映画への評価を一変させた第4作、「総長賭博」があまりにも有名。けれども、同じ山下耕作監督＆脚本笠原和夫の名コンビが手がけた本作も、それに負けず劣らず見応え満点の傑作。かつて深く愛し合った男女が、数年の歳月を経て奇しくも兄貴分の妻とその身内として再会。「あたしを姐さんと呼ぶのはやめて！」と悲痛な叫びをあげる大楠（当時は安田姓）道代が何とも絶品。真っ赤に染まるラストも壮絶で必見だ。