1996年、コクーン歌舞伎第2弾としてこれまでにない新しい演出により大絶賛された伝説のステージ。中村勘三郎×串田和美の挑戦の原点がここにある。
串田和美演出のコクーン歌舞伎第2弾「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」。恩ある主人を守るため、団七九郎兵衛ら3人の浪花男たちが命を懸けて男を通すという上方の世話狂言を、これまでにない新しい演出を施し大絶賛された伝説のステージ。開演前のロビーはまげをつけ扮装をした役者たちが風鈴や手拭を売ったり、通りすがりの客をひやかしたりと、江戸の芝居小屋を思わせる雰囲気。そんな賑いのなか、芝居は観客でごった返すそのロビーで幕を開ける。その後も客席の通路を花道に見立て、座っている客のすぐ横を花形役者が通り、役者と観客が一体となるという具合にアイデアに溢れた舞台が展開される。
大坂の夏の暑さ、夏祭りの賑わいを背景に、鮮やかな彫り物を見せながら、団七(中村勘三郎、当時:勘九郎)と舅の義平次が、泥にまみれながら大立廻りをみせる場面は、数ある歌舞伎の殺し場の中でも名場面の一つとしてあげられる。そして圧巻は団七の舅殺しの後、背景が開き渋谷の町と駐車場を背に繰り出してくる神輿の一団。「平成の芝居小屋」の楽しさに溢れた新しい演劇の出現である。
演目
- 夏祭浪花鑑
収録日・収録場所
- 1996年/東京 Bunkamuraシアターコクーン
出演
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中村勘三郎
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片岡孝太郎
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松本幸四郎
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中村芝翫
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中村獅童
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坂東吉弥
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中村扇雀
スタッフ
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演出串田和美