ドキュメンタリー

ノンフィクションW　グラミー賞に取り憑かれた男 〜元外交官・阿曽沼和彦〜

元外交官で、現在は音楽プロデューサーの阿曽沼和彦。２０１１年に開催された音楽の祭典・第５３回グラミー賞ノミネート作品に、彼がプロデュースした作品があった。

日本から遠く離れたジャマイカの地から、グラミー賞を本気で狙う日本人音楽プロデューサーがいる。10年ほど前に、それまでケニア、ジャマイカ、アメリカなどを渡り歩いた外務省の外交官という安定した職を投げ打ち、音楽プロデュースの世界へと衝撃の転身を果たした、“Kaz　Asonuma”こと、阿曽沼和彦である。
　阿曽沼は、30年以上もシーンの最前線で活躍を続ける世界屈指のレゲエ・リズムセクションとして、あのザ・ローリング・ストーンズもリズム隊として欲しがったほど、ロック・ミュージシャンからもリスペクトされる「スライ＆ロビー」とともに、共同プロデューサーとして日夜、グラミー賞の栄誉を狙っているのだ。
　これまで、日本人アーティストの楽曲をレゲエアーティストにカバーさせるなど、外交官さながらの“音楽の架け橋”にもなってきた彼。日本時間2011年2月14日にロサンゼルスで行なわれ、生中継する「第53回グラミー賞授賞式」での栄冠を目指し、阿曽沼はプロデューサーとして、スライ＆ロビーとともに2010年に2枚のアルバム（「Sly　＆　Robbie，Scantana／The　Best　Supporting　Acts」、「Sly　＆　Robbie　and　The　Family　Taxi／One　Pop　Raggae　＋」）を仕掛けた。
　そして、そのうち「Sly　＆　Robbie　and　The　Family　Taxi／One　Pop　Raggae　＋」が、2010年12月1日（現地時間）のノミネーション発表で見事【最優秀レゲエアルバム部門】でのノミネートを受けたのだ。グラミー賞をその手にするには、最高の音楽であることはもちろんだが、レコード発表のタイミングやプロモーション展開といったビジネス的側面も密接に関わっているとされ、2枚のアルバムを手に精力的に世界を飛び回った阿曽沼。
　番組では、ジャマイカでの貴重なレコーディングから、音楽業界の中心地・ニューヨークでのレコード発売やプロモーションに関するミーティングの模様など、阿曽沼の活動を中心に、“スラロビ”をはじめとする「アーティストたちが語るKaz　Asonumaという存在」などを紡ぎながら、現地時間12月1日に行なわれたノミネーション発表の瞬間などを追いかけた。