映画

ロルナの祈り

ベルギーが世界に誇る名監督コンビ、ダルデンヌ兄弟が、初めて恋愛をテーマに取り上げた感動作。国籍取得のため、麻薬中毒の男と偽装結婚したヒロインの苦悩・葛藤を描く。

「ロゼッタ」「ある子供」の2作がカンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた鬼才ダルデンヌ兄弟。常に社会情勢を見つめてモチーフを選びながら、長回しのカットを駆使して俳優を登場人物になり切らせる独特の演出、ドキュメンタリー風の映像など、オリジナリティあふれる秀作を放ち続けてきた。本作でも、国際的な偽装結婚というアップ・トゥ・デートかつハードな題材を選択。生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされていくヒロインの姿を濃密かつリアルに描き、その鋭い視点や演出手腕は健在。引き続いて今後も期待させる。