映画

ある脅迫

幼なじみの仲でありながら、片や銀行の出世コースを歩むエリートと、片や一向にうだつのあがらないヒラの銀行員。そんな2人の間で意外な逆転劇が繰り広げられる要注目作。

名手・蔵原惟繕監督（「南極物語」）のもと、金子信雄と西村晃という共に芸達者な演技と独自の存在感で日本映画界の黄金期を支えた名バイプレイヤーの2人が、本作では珍しく主役同士として相対し、虚々実々の息詰まる仮面芝居を全編にわたって展開。作品の長さが70分にも満たない低予算の小品ながら、双方の主従関係が二転三転して最後の最後までドラマの行方から目が離せない、スリリングな傑作となった。川瀬治という変名で脚本を手がけたのは、その後喜劇監督として活躍する瀬川昌治。