映画

刺青一代

弟思いの男気あふれるやくざを、異才・鈴木清順が鮮烈なタッチで描写。独特のけれんと様式美に満ちた“清順美学”がラストに至って絢爛たる花を咲かせる、任侠映画の傑作。

昭和初期。やくざ渡世に見切りをつけ、心機一転、満州に渡ろうと決意した青年。そんな彼が、愛する弟を殺したやくざ一家に殴り込みをかける様子を、異才・鈴木監督があっと驚く奇抜な演出でスタイリッシュに表現。主人公が座敷の襖を開け放つたびに色彩が移り変わる照明。敵味方が相対する様子を畳の下からガラス越しに仰角で捉えたカットなど、その伝説的演出ぶりは何はなくとも必見だ。主演は鈴木監督の「けんかえれじい」にも主演した高橋英樹。