映画

マルホランド・ドライブ

鬼才Ｄ・リンチ監督が独特の不条理な世界をより発展させた異色サスペンス。ロサンゼルスを舞台に、俳優志望の女性と記憶喪失の女性が繰り広げる悪夢のような出来事を描写。

リンチは当初「ツイン・ピークス（TP）」のようなドラマシリーズを企画し、その第1話として本作に着手。だがTVのレベルではない濃密さのため、「TP」の全米ABCネットワークが恐れをなし、結局フランスのTV局の出資を得て追加場面を撮影し、やっと完成と相成ったという、いわくつきの作品。舞台となるロサンゼルスの上流社会の虚飾というスキャンダラスな題材を、リンチらしく先鋭的かつ官能的な映画空間に高めたのが見もの。リンチの代表作と呼ぶ声も多い快作だ。主演は本作が出世作となったN・ワッツ。