映画

断崖

サスペンス映画の神様Ａ・ヒッチコック監督が、英国の作家Ｆ・アイリスの小説「犯行以前」を原作にした心理サスペンスの秀作。第１４回アカデミー賞で主演女優賞を受賞。

魅力的だが正体が怪しい男性と結婚した富豪の娘が、自分の身辺に異変が次々と生じるうち、次第に夫が自分を殺そうとしているのではと疑惑を募らせていく。そんな様子を、じわじわとテンポを上げながら絶妙のタッチで描写。とりわけ、ヒロインのもとへ夫がミルクのコップを持って階段を上がってくるスリリングな場面は本作の最大の見せ場の1つ（監督は、コップの中に豆電球を仕込んでミルクの白さを強烈にアピール）。「レベッカ」のJ・フォンテインが若妻役を好演し、第14回アカデミー賞で主演女優賞に輝いた。