映画

かくも長き不在

第１４回カンヌ国際映画祭でパルムドール受賞。第２次世界大戦中、ナチスに拉致された行方不明の夫にそっくりなホームレスが妻の前に出現。だが彼に過去の記憶は無く……。

第2次世界大戦中、ナチスに拉致されて以来、行方不明になった夫にそっくりなホームレスが戦後十数年を経て、その妻の前に出現。だが彼は過去の記憶を喪失していた。果たして彼は彼女の夫なのか、それとも……。過去の記憶を呼び戻そうとする1組の男女の姿を通し、決して癒えることのない戦争の傷跡を、心に深く染みいるようなタッチで静かに浮かび上がらせ、第14回カンヌ国際映画祭パルムドールの栄冠を、ルイス・ブニュエル監督の「ビリディアナ」とともに分け合った、フランス産の心理ドラマの印象的な傑作だ。