映画

陸軍中野学校　竜三号指令

大映が５本を製作した市川雷蔵・主演のスパイサスペンス「陸軍中野学校」シリーズ第３作。陸軍中野学校出身のスパイ、椎名次郎は日本の密使が上海で襲われた事件の調査へ。

昭和41年から同43年にかけて5本が作られた伝説的シリーズの第3弾。第1作はスパイの仕事に就いた主人公が人間性まで変わっていく辛口青春映画だったが、シリーズ化以後、特にこの第3作でスパイ対スパイの戦いを描く本格アドベンチャーという娯楽作のタッチが定着。“雷蔵”が自由自在の変装を見せるのをはじめ、“スパイの七つ道具”のアイデアも楽しいが、当時の大映京都の一流スタッフが腕を振るって中国を再現した、精巧なセットも見もの。監督は「悪名」ほかでも名職人の仕事を見せた田中徳三。