映画

一番美しく

黒澤明監督の「姿三四郎」に続く監督第２作。太平洋戦争中、学徒動員によって勤労奉仕に従事することになった女子挺身隊のひとりひとりを丹念に描いたヒューマンドラマ。

黒澤監督が「姿三四郎」に続いて手掛けた第2作。気鋭の新人として頭角を現わしつつあった黒澤監督の覇気が全編にあふれる佳作に仕上がった。戦時下に製作・公開された戦意高揚色の強い企画ながら、自ら脚本も書いた黒澤監督は本作を、働く女性たちの輝きを捉えた群像劇として作り上げることに成功。女優たちを実際に工場に入所させた上、軍需工場で働く女子挺身隊の娘たちの日常をドキュメンタリー・タッチでたくましい生命感の中に描いた。主人公を演じた矢口陽子は後に黒澤監督と結婚し、女優業から引退している。