UEFA EURO 2012TMに合わせて開催国を紹介。
ポーランド周遊1200キロ ウクライナ周遊2000キロ
今回は、ついに開幕する4年に1度のサッカーの祭典、ユーロ2012に沸く2つの開催国を訪問。同じスラブ文化圏でありながら、西欧と隣接し独自の文化を築いてきたポーランドと、今なお色濃いスラブ文化が息づくウクライナを紹介します。現役のSL路線など見どころも多い鉄道旅を、表情豊かな東欧の文化、美しい自然風景とともにお届けします。
UEFA EURO 2012TMに合わせて開催国を紹介。 ポーランド周遊1200キロ ウクライナ周遊2000キロ今回は、ついに開幕する4年に1度のサッカーの祭典、ユーロ2012に沸く2つの開催国を訪問。同じスラブ文化圏でありながら、西欧と隣接し独自の文化を築いてきたポーランドと、今なお色濃いスラブ文化が息づくウクライナを紹介します。現役のSL路線など見どころも多い鉄道旅を、表情豊かな東欧の文化、美しい自然風景とともにお届けします。 王国の栄華を訪ねて ワルシャワ〜ポズナニ〜ヴロツワフワルシャワ ショパンの調べと波乱の歴史を刻む首都旧市街市場広場第二次大戦で徹底的に破壊されたワルシャワ。旧市街で見られる17〜18世紀の街並みは、なんと厳密に復元されたものです。古い資料や絵画を参考に、建物の瓦礫を再利用したり破片も装飾に使うなど「できる限り元々あった場所に戻した」のだそう。広場の北にあるバルバカンも同様で、元は15〜16世紀に建てられた砦。円形の砦というのは珍しく、ヨーロッパにも3カ所しか残っていません。 旧市街市場広場 円形の砦バルバカン 旧王宮16世紀末、クラクフからワルシャワに遷都したジグムント3世の居城として建設。現在は博物館として、ポーランドが繁栄した16、17世紀頃の装飾品、貴金属、絵画などを展示しています。大理石の間にあるのは、歴代国王を描いた22枚の肖像画。18世紀にヴェネツィアから招かれ宮廷画家となったベロットの風景画は、ワルシャワ復興の参考資料として大いに役立ったそうです。 旧王宮 旧王宮:大理石の間 ジグムント3世像 ショパン博物館17世紀にクラクフの騎士オストロフスキが建てた宮殿へ、今では世界中からショパンのファンが訪れます。1831年にワルシャワ蜂起失敗の報を聞いて作曲した『革命のエチュード』などの楽譜、最晩年に使っていたプレイエルのピアノ、自筆の書簡など、所蔵資料は7000点以上。AVシステムやタッチパネルなどを多用した最先端の展示で、生い立ち、作品、故国ポーランドとの関わりなどを紹介しています。 ショパン博物館 フランスで最後に使っていたピアノ 『革命のエチュード』手書きの譜面 聖十字架教会人生の後半生を海外で過ごしたショパンでしたが、望郷の思いは忘れがたく、亡くなったら故郷ワルシャワに心臓を運んでほしいと言い遺していました。願い通り、その心臓は聖十字架教会の1本の石柱に納められています。第二次大戦中、教会はドイツ軍に爆破され、ショパンの心臓も持ち去られましたが、1945年のショパンの命日に返還されました。 聖十字架教会 ショパンの心臓が納められた柱 ホノラットカポーランド料理なら、この老舗レストラン。ショパンも度々訪れた店で、手形と楽譜が残っています。まず前菜はスマーレッツ。炒めタマネギ、ナッツ、ハーブなどを混ぜた豚の脂で、パンに塗って食べます。ウォッカなど強い酒を飲む国らしい胃腸保護食といえるでしょう。ピエロギはポーランド風餃子。中身は挽肉やチーズ、デザートにはフルーツ入り等々。店や家庭でレシピが違うので食べ比べも楽しみです。 店内 スマーレッツ ピエロギ ポズナニ 中世ポーランド王国最初の首都旧市場広場ポズナニもワルシャワのように第二次大戦で多くを破壊され、市民の情熱と努力で元の街並みを取り戻しました。中世からの歴史を持つ旧市場広場も、市庁舎は16世紀のルネッサンス様式で再建。内部は歴史博物館となっています。春分の日には、竹馬のパレード「マジャンナ」が練り歩いていました。冬の女神マジャンナは、パレード後に燃やして川に流す、つまり冬を葬って春を迎える儀式なのだそうです。 旧市場広場 ポズナニ大聖堂1000年の歴史がある国内最古の教会。建物自体は、戦後に14〜15世紀のスタイルで再建したものです。10世紀にキリスト教に改宗したポーランドは周辺国から独立国として認められ、ポズナニを都と定めたミェシュコ1世は、国家の象徴としてこの聖堂を建てました。ビザンチン様式の黄金の礼拝堂は一般公開されていない聖域で、建国の父・ミェシュコ1世と、初代国王ボレスワフ1世らの廟となっています。 ポズナニ大聖堂 黄金の礼拝堂 ヴォルシュテイン機関区世界でも珍しく、ポズナニからは蒸気機関車が現役の交通機関として活躍しています。乗車して約2時間、ヴォルシュテイン機関区では、今乗ってきた機関車が転車台で車庫に格納されたり、水や石炭を補給するのを間近に見ることができます。すぐ側の留置線には、古びた巨大な機関車が何台も。運転席に同乗して、釜の熱気、蒸気の音、石炭の匂いなどをダイレクトに体験することも可能です。 扇状機関庫 転車台 通常運行している蒸気機関車 ヴロツワフ 交易や金融を担ってきた水の都オストルフ・ツムスキオストルフ・ツムスキはオドラ川の中州だった場所で、教会が集中する最も古いエリアです。川にかかる青い橋は、愛の橋、恋人の橋と呼ばれるデートの名所。永遠の愛を願って、2人の名前を記した南京錠が鈴なりになっています。ちなみにヴロツワフには12の島と121の橋があり、ポーランドのヴェネツィアと呼ばれることも。ゴンドラならぬ遊覧船で、川から町を眺めるのも一興です。 オストルフ・ツムスキ 誓いの鍵 聖ヤン大聖堂オストルフ・ツムスキは古くから聖職者や権力者が多く住む場所で、教会や司教の館がたくさんあります。中でも聖ヤン大聖堂は13世紀に建設が始まり、1590年に完成した由緒ある教会。ポーランドで初めてのゴシック様式で建てられました。高さ100m近い2本の尖塔は、遠くからでもよく見える街のシンボル。ここからの眺めも一見の価値ありです。 聖ヤン大聖堂 旧市街のこびとこの街の意外な楽しみ方が、こびと探し。旧市街を中心にいたるところで出会えます。歴史的にヴロツワフは異教徒・異人種に寛容なのでこびとも集まってきた、との説もありますが、増え続けて現在は200近くとも。レストランの入口で物欲しそうにしていたり、柱によじ登っていたり、川で洗濯していたり。こんなところに!?と思う場所にひょっこり。「こびとマップ」を片手に探し歩いてみては? ATMを使うこびと よいしょ!
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