映画

トニー滝谷

村上春樹の同名短編小説を、市川準監督がイッセー尾形と宮沢りえの主演で映画化。音楽を坂本龍一が担当。透明感あふれる音と映像で主人公の孤独を浮き彫りにした秀作中編。

「つぐみ」「東京兄妹」などで知られる市川監督が、長年愛読する村上の小説世界の映画化を本作でついに実現。先に「BU・SU」などでも同監督と組んでいる実力個性派のイッセーが、タイトルロールの孤独な主人公を寡黙に演じる一方、彼が運命的に巡りあう2人の女性を宮沢がひとり二役で切なく好演。音楽を坂本が手掛けたほか、後に同じ村上原作の「ドライブ・マイ・カー」の主演で絶賛を博す西島秀俊が、ナレーターで参加。第57回ロカルノ国際映画祭で審査員特別賞ほか3賞に輝くなど、国内外で高い評価を得た。