映画

野良犬(1949)

名匠・黒澤明監督の代表作の１本。戦後間もない東京の町。警官から盗まれた拳銃が、次々と凶行を重ねていく。被害者でもある若い警官はその行方を懸命になって探すが……。

それはうだるような真夏の出来事。黒澤監督が、「メグレ」シリーズで知られるジョルジュ・シムノンの小説のような社会派犯罪劇を目指し、それに成功した、スリリングな犯罪サスペンス。物語の背景になった戦後の混乱期もまた、重要な要素として機能。黒澤監督とよく組んだ脚本家、菊島隆三が初めて監督と出会った記念すべき作品でもある。ちなみにこのころの日本映画の小道具は一部で実銃が使われ、本作もそんな1本である。物語の鍵を握る拳銃コルトのリアリティもドラマの盛り上がりに大いに貢献。主演は三船敏郎。