旅情あふれるミャンマー鉄道に揺られ、世界が注目する新興国の今に触れる。
国民のおよそ9割を仏教徒が占め、その教えから“笑顔の国”と呼ばれるミャンマー。改革開放が進み、民主化という新たな歩みを始めたこの国は今、経済だけでなく観光の分野でも世界中から注目を浴びています。開発著しいヤンゴンから、第2の都市・マンダレーへと向かい、王朝の歴史や仏教文化、さらには少数民族の文化にも触れる鉄道の旅です。
PART1
ヤンゴン〜ピィ〜ネーピードー〜インレー湖
ヤンゴン中央駅から南、ヤンゴン川沿いのストランド通りまでの一帯が、賑やかな街の中心地。そのランドマークが高さ46mの黄金の塔、スーレー・パヤーです。朝から晩まで参拝者が絶えない地元の人々の祈りの場所。周辺にはイギリス植民地時代を彷彿とさせる最高裁判所、純白の独立記念塔、市庁舎など、象徴的な建造物が点在しています。
昔ながらの露店がひしめくヤンゴンの街で、とりわけ活気にあふれているのが、ダウンタウンの26番通りにある生鮮市場です。肉や魚や野菜など、ミャンマーならではの食材が並び、屋台では香り豊かな料理を楽しむ人々の姿が見られます。
およそ2500年前、釈迦の聖髪を奉納したのが起源とされる、ミャンマー最大の聖地です。大小60もの塔に囲まれた約100mの黄金の塔には、幾千ものダイヤやルビーがちりばめられ、朝も夕もまぶしいほどに輝いています。境内にはミャンマー伝統暦、八曜日の守護像が建ち、自分の生まれた曜日の守護像にお参りする人々が祈りを捧げています。
イギリス統治時代の1877年にヤンゴンとピィを結び開業。その起点となるヤンゴン中央駅は、ミャンマー鉄道のメインターミナルです。国産の車輌を持たないミャンマー鉄道では、世界各国から輸入された中古車輌が旅客列車の運行を支えています。
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古代ピュー族の王朝があったピィは、ミャンマーを南北に貫くエーヤワディー川沿いに開かれた町。かつて北部の木材や南部の米を全国に運ぶ交易の大動脈として活躍した川は、今もミャンマーの水運を支えています。郊外には6〜7世紀のピュー王朝の仏塔パヤーヂー・パヤーなど、見ごたえのある遺跡が残っています。
寺院が開かれたのは6世紀。ピュー族の王妃が眼病を患った国王と国内を行脚し、釈迦のお告げを受けてパヤーを建設。眼病治癒を願い仏像を安置し、メガネに用いていたガラス玉を奉納したのが始まりと伝えられています。その後、仏像にはメガネがかけられ、創建から1500年を経てもなお、眼病を治すご本尊として大勢の参拝者を集めています。
ヤンゴン・ピィ通りは、商店や食堂が並ぶ町一番の繁華街。朝は外食が一般的なミャンマーでは、早い時間からカフェは食事をする人々で賑わっています。ココナッツミルク入りのシュエータウン・カウスウェーは、伝統の麺料理。カレー味の揚げ物サモサは、鉄道建設に従事したインド人がもたらしたメニューです。
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ネーピードーの玄関口である駅は、新首都にふさわしく駅舎も新しく清潔。線路を走る世界各国の中古車輌の中で、日本からも佐賀と長崎を結ぶ松浦鉄道やJRで活躍した車輌が海を渡り、ミャンマー鉄道を支えています。
2006年に遷都され、2011年新政権が発足以降、近代的都市開発が本格的に始まったネーピードーは、現在も建設ラッシュの真っ最中。工事やサービス業に従事するため、全国から集まった人々の憩いの場所は、ミョーマ市場。ミャンマー全土の郷土料理が揃う市場は、仕事仲間や家族と連れ立って夕食に舌鼓を打つ、人々の賑わいにあふれています。
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シャン高原に広がる、南北約22㎞、東西約10mのインレー湖。この湖は風光明媚な避暑地であるだけでなく、湖上に建てた家々に暮らすインダー族など、昔ながらの伝統を守る数々の民族に出会える場所です。約600年前から湖に暮らすインダー族は、浮島で野菜を栽培し、片足で器用にボートを漕ぎ魚を獲る、ユニークな習慣を継承する民族です。
湖畔に建つ、インレー湖の仏教信仰の中心地。5体のご本尊は、もともとは釈迦の姿をした仏像でしたが、参拝者が金箔を貼っていくため鏡餅のような現在の姿になりました。中央祭壇に近づき金箔を貼ることができるのは男性のみ。毎年9〜10月頃に行われる祭りでは、このご本尊が伝説の鳥カラウェイの形をした船に乗り、湖を巡ります。
インレー湖畔の村々では、持ち回りで5日毎に市が開かれます。市には周辺に暮らす民族がそれぞれ特産品を持ち寄ってくることから、珍しい食べ物や民芸品とともに、装い異なる民族に遭遇できる絶好のチャンスとなっています。写真は空港に近いヘーホー中央市場。
湖の至る所に自生している蓮を糸にして布を作る、インレー湖ならではの繊細な織物は、絹よりも珍重される高級品です。洗うほどに柔らかくなり肌に馴染む織物は、僧侶に寄進する贈り物としても人気を集めています。
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