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PART 1 「迷宮の古都を訪ねて」
TOP Part1 タンジェ〜ティトゥアン〜メクネス〜フェズ〜ラバト Part2 ラバト〜カサブランカ〜アル・ジャディーダ〜マラケシュ
タンジェ Tanger
ジブラルタル海峡の向こうにスペインを臨む港町
ジブラルタル海峡の向こうにスペインを臨む港町。海峡の最短距離はわずか15km程度しかなく、泳いで渡れそうな気さえします。右は地中海、左は大西洋、まさにヨーロッパ、アフリカ、アラブを結ぶ異文化の交差点で、古くは古代フェニキアの交易都市から発展を遂げました。海を渡ってきた古の異邦人は、迷路のようなメディナ(旧市街)やグランモスクに強烈なエキゾティシズムを感じたことでしょう。

グランモスク
Grande Mosquee

グランモスク Grande Mosquee 眩しい白壁のメディナに迷い込み、土産物や香辛料やケバブを売る雑然とした市場をそぞろ歩くとグランモスクに辿り着きます。かつてはポルトガル教会でしたが、その後英国国教会になり、さらに17世紀にはムーレイ・イスマイルがグランモスクとして再建しました。白と緑の配色が美しく、壁面やミナレット(塔)を彩るイスラム文様が印象的です。

スパルテル岬
Cap Spartel

スパルテル岬 Cap Spartelアフリカ大陸北西端の地。右が地中海、左が大西洋、その境目を1864年建造の灯台が見下ろしています。対岸にはスペインの山並み。まさに交易の心臓部であったことを感じさせる場所です。周りの高台は高級別荘地やビーチリゾートになっていて、豪奢な邸宅が点在しています。

ヘラクレスの洞窟
Grottes d'Hercules

ヘラクレスの洞窟 Grottes d'Herculesスパルテル岬に近くにある、波の浸食によってできた石灰岩の洞窟。ヘラクレスが12の功業を成し遂げて、ここで休息をとったというギリシャ神話に由来します。穴の形が反転させたアフリカ大陸やヘラクレスの横顔に似ているといわれ、その向こうに青い大西洋と打ち寄せる白波が見えます。
ティトゥアン Tetouan
イスラム教徒が築いた街
少し足を伸ばして、タンジェ郊外のリフ山脈の麓、ティトゥアンへ。ここはスペインから逃れて来たイスラム教徒が築いた街。その影響で、アンダルシア風の白い町並みが広がっています。マラケシュに匹敵するほど迷路のようなメディナは1997年に世界文化遺産に登録されました。旅行者が少ないためスーク(市場)にも土産屋は少なく、食料品や衣類を扱う住民のための店が多いので、モロッコ人の日常の暮らしを肌で感じることができます。
メクネス Meknes
17世紀に首都がおかれた古都
白くモダンなタンジェ・ヴィラ駅から列車はメクネスのアミール・アプデルカデル駅へ。17世紀に首都が置かれた古都メクネスは、1996年に世界文化遺産に登録されています。アラウィー王朝の君主ムーレイ・イスマイルはフランス文化に傾倒し、ヴェルサイユに匹敵する王都を築くべく、40kmにもおよぶ三重の城壁と荘厳な門に囲まれたメディナを造り上げました。ヨーロッパとイスラムが融合した景観は、今も当時のムードをそのままに残しています。

グランモスク
Grande Mosquee

グランモスク Grande Mosquee緑のミナレットが美しいグランモスクは、12世紀に建てられたメクネスのシンボル。残念ながらモスリム以外は中に入れません。迷路のようなメディナの上に広がる美しい屋根の波、そこにそびえる信仰の証。響き渡るコーランの調べとともにイスラムの空気を感じさせてくれます。

マンスール門
Bab el Mansour

マンスール門 Bab el Mansourモロッコで、もしくは北アフリカで、最も美しいといわれる王都のメインゲート。馬蹄型のアーチが重厚かつ壮大、しかし細部までモザイクタイルや彫刻で彩られ繊細優美でもあります。エディム広場に面して建ち、メディナと王宮を隔てているこの門、広場には雑貨や食品や陶器を売る露天が集まり、夜になると屋台が出る庶民の憩いの場です。

ムーレイ・イスマイル廟
Tombeau de Moulay Ismail

ムーレイ・イスマイル廟 Tombeau de Moulay Ismailムーレイ・イスマイルが眠る、モロッコで一番美しいと称えられる霊廟。モスクとしては珍しくモスリム(イスラム教徒)でなくても中に入れるので、素晴らしい装飾や建築様式をぜひ見学したいもの。繊細な漆喰彫刻やモザイクタイルで飾られ、イスラム建築の最高傑作といわれています。

風の門
Babe er Rif

風の門 Babe er Rifムーレイ・イスマイル廟を出るとすぐ、風の道に出ます。高い城壁に挟まれた長い一本道が1kmほど続くので、馬車に乗るのもおすすめ。そそり立つ城壁は威圧感も感じさせますが、おかげで名前の通り強い風が吹き抜けていきます。長い風の道を抜け、突き当たりに建つ風の門をくぐり抜けると城内です。
ヴォルビリス遺跡 Archaeological Site of Volubilis
モロッコに現存する最大のローマ遺跡
メクネスの近郊には、1997年に世界文化遺産に登録されたヴォルビリス遺跡があります。モロッコに現存する最大にして最良の保存状態を誇るローマ遺跡です。ヴォルビリスはローマ帝国最西端の重要拠点で、2万人もの住民がいたとか。カラカラ帝を称える凱旋門やバジリカ礼拝堂を代表に、邸宅群、公衆浴場、オリーブオイル精製所、350余りのモザイク画などが残されています。
フェズ Fez
「迷宮の古都」
メクネスから1000年の歴史を誇る街フェズへ。モロッコ最初のイスラム王朝の都で、「迷宮の古都」と呼ばれる複雑なメディナはあまりにも有名です。狭い路地が複雑に曲がり、登ったかと思うと下り、小さな階段にぶつかり、あるいは行き止まり、迷ったら二度と出られないと思うほど。荷を運ぶロバが異国情緒をいっそう盛り上げます。このメディナは1981年、世界文化遺産に登録されています。フェズからはシディ・カセム駅を経由して首都ラバトに向かいます。

ブージュールド門
Bab Bou Jeloud

ブージュールド門 Bab Bou Jeloud青と緑の幾何学模様が美しい門は、フェズの顔であり迷宮への入口。一歩踏み入れば雑多な商店が建ち並び、雑多な人々が行き交います。肉屋、魚屋、蝋燭屋、織物屋、鋳掛屋、染色・真ちゅう細工・木工・タイルの工房…。1000年も同じ暮らしが営まれてきた、生きている世界遺産であることが実感できます。

ブー・イナニア神学校
Medersa Bou Inania

ブー・イナニア神学校 Medersa Bou Inaniaブージェルド門の向こうに見えるミナレットが目印。14世紀にブー・イナニア王が建てた、マリーン朝最大の神学校です。巨大な木製の扉、大理石を敷き詰めた中庭、幾何学モザイクで埋め尽くした壁面、そのすべてが繊細で荘厳。学生が授業や祈りの前に身を清めた水盤には水がたたえられ、静謐な空気を漂わせています。

カラウイン・モスク
Mosquee Karaouiyne

カラウイン・モスク Mosquee Karaouiyneこのフェズ最古の建物は、895年にチュニジアの女性ファティマ・ヘリーヤによって建てられました。最初は小さな礼拝堂でしたが10世紀初頭に改築され、壮大・華麗な北アフリカ最大のモスクになったそう。ここは大学としても使用され、世界最古の大学の一つに数えられます。それにしても、モロッコはどこの街もメディナは混沌として建造物は繊細優美。イスラム社会独特のコントラストに圧倒されます。

タンネリ
Tanneries

タンネリ Tanneries革染色職人街、タンネリ。作業場にはおびただしい染料のかめが並び、職人たちが革を染料に浸して足で踏みつけています。黄色はサフラン、青はインディゴ、赤はポピー、黒は鉱石の色だそう。匂いが強烈なので、ガイドが入り口で渡してくれるミントの葉を嗅ぎながら見学します。