映画
「僕の戦争」を探すって、何を探しに行くの? 邦題ってむずかしいなぁ。そんなことを思いながら鑑賞し始めた、事実に基づくストーリー。 種明かしは、スペイン人の英語教師アントニオが、「僕の戦争」を撮影中のジョン・レノンに会いに行くロードムービー。 スペインからイメージする情熱的なぎらぎら感や、それとなく折り込まれるフランコ政権下の抑圧や暗さは全く感じさせない、ほっこりと‘すべては楽しく切ない、そんなもんだ’と思わせてくれる物語。 道中出逢う人々との、素敵で心に響く印象的なせりふの数々を‘’で綴らせていただく。 毎晩寝る前に読む詩は‘一日の汚れを落とすシャワーみたいなものだ’と表現するアントニオ。 訳あり女性ベレンと早起きした際に、電気ならぬ‘君のために太陽を点けておいた’と空を見上げる。 身障者のブルーノに‘波をかぞえてるの?’と問いかけ、その父親酒場の主人カタランは息子の病気が何かと尋ねられ、‘病名なんかに意味はない’と答える。 アントニオがベレンと家出少年フアンホに語る、ビートルズ愛からの経験訓、‘歌は人を救う 自分が感じていることを 他の誰かも感じたことを知る すると孤独でなくなる 誰だってヘルプと叫ぶ 一生に一度ね’ せりふとともに、印象的な伏線も一つ。 中盤、酒場の主人カタランが栽培するイチゴが出てくるが、これが最後に重要な鍵となる。「イチゴを忘れるな」というセリフがあるが、イチゴを持って帰れよという意味のほかに、ストロベリー・フィールズ・フォーエバーになぞらえて、この地での出逢い・出来事を永遠に忘れるなよという思いも込められているのかなあと、感じた。 原題「Living Is Easy with Eyes Closed」目を閉じれば生きるのは簡単、だけど… しっかり目を見開いて未来へ進もう。なんていうメッセージも聞こえてきそうな、大らかな希望も持たせて、心にぽっと太陽が灯る、そんな心優しい気持ちにさせてくれる作品だった。 あだ名どおりになったではないかと、アントニオに温かい拍手を送りたいエンドクレジットの最後のカットは、絶対に見逃さないでほしい。
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2016.4.27 改定