大会第5日〜デイセッション
女子シングルス3回戦

(オーストラリア)
(イタリア)
解説:土橋 登志久 実況:西岡 明彦
かつてダブルスで世界の頂点に君臨していたストーサーは、昨年の全仏オープンでオーストラリア女子初のベスト4入りを果たし、一気にシングルスプレーヤーとしての地位を高めた。今年も全仏では決勝に進んだが、全米では05年にダブルス優勝を経験しているものの、シングルスは今年が初の3回戦進出となる。
ストーサーの武器はサービスエースの数がツアー3番目という有効なキックサーブだが、サーブなら初のグランドスラム4回戦進出を狙うエラーニにも“売り”がある。ファーストサーブの平均確率がツアー2番目の75.6%。技術か勝つか、安定性か。つい2週間前、ニューヘブンの対戦ではファイナルセットのタイブレークという大接戦を演じた2人である。
大会第5日〜デイセッション
男子シングルス2回戦

(スイス)
(アメリカ)
解説:土橋 登志久 実況:西岡 明彦
今年のウィンブルドンで11時間5分、183ゲームという史上最長試合“ウルトラ・マラソンマッチ”を制したイズナーは、いまや超人気者。206センチの長身が自信に満ち溢れ、光り輝いている。もともとはNCAAの学生リーグで戦い、強い愛国心の持ち主であるイズナーだけに、星条旗はためくフラッシングメドウズに燃えないはずはない。昨年の全米オープンではグランドスラム自己最高の4回戦進出。長身から打ちおろすサーブがハードコートで破壊力を増す。
スイスの28歳、キュードネリとの対戦は今年の全仏オープンでの1度だけ。その時は6-7、7-6、7-6、6-4と苦しみながらも勝利した。ただ、前哨戦のシンシナティで踵を痛めて途中棄権しているのが、イズナーにとっては不安材料か。
大会第5日〜デイセッション
女子シングルス3回戦

(フランス)
(セルビア)
解説:右近 憲三 実況:吉崎 仁康
両者ともこの1年、世界ランクを下っては再び上がってきた“Uターン”組。特にラザノは昨年の全米オープンで第16シード、それが現在は世界ランク157位で、今年はワイルドカードによる出場だ。2回戦で同じフランスの第13シード、マリオン・バルトリを破ってここまで勝ち上がってきた。
元世界ランク1位のイバノビッチは現在40位だが、コーチを変え、サーブを変え、今回はラケットを変えて、ようやく復調が見えてきた。2回戦で難敵ジェン・ジーを6-3、6-0で一蹴し、久々のグランドスラム2週目進出を狙いたいが、ジェンはこのところまったくの不振。ラザノも昔の彼女ではないとすれば、ドロー運に恵まれた感も…? だが、そんなことを気にしている余裕はない。勝てば、次戦は前年覇者のクライシュテルスか。それにしてもこのブロックは平均年齢が高い。
大会第5日〜デイセッション
男子シングルス2回戦

(アメリカ)
(スペイン)
解説:右近 憲三 実況:吉崎 仁康
今年は地元アメリカから15選手が出場し、そのうち6人はワイルドカード。1回戦を7人が勝ちあがったから上々の成績と思っていたところで、エースのアンディ・ロディックが不覚を取った。そんな中、地元の期待を受けるのが22歳のクエリーだ。今季ATPツアーではラファエル・ナダルに次いで4勝を挙げ、しかもクレー、芝、ハードと異種サーフェスでのタイトルにすっかり自信を深めている。
一方のグラノイェルスは、初戦で格上のアンドレアス・セッピを退けてはいるものの、今季のハードコートでの実績は地元スペインのチャンレンジャー大会だけでそれも初戦敗退。かなりの気分屋と見受けられる24歳は、08年にヒューストンでツアー初優勝、昨年初めには世界ランク44位まで上がっている。ダブルスでは5度の優勝記録を持つ器用さは侮れないかも。
大会第5日〜デイセッション
女子シングルス3回戦

(スロバキア)
(ロシア)
解説:杉山 愛 実況:河路 直樹
女王セレナが欠場している今大会、“女たちの戦い”のドラマは複雑だ。第24シードのハンチュコバは1回戦で元世界ランク1位のディナラ・サフィーナにストレート勝ち。だがサフィーナは現在50位、勝っても強さの証明にはなり難い。今の女子テニス界は浮き沈みが激しく、評価も割れるところだ。
デメンティエワにとって、全米オープンは当時18歳だった2000年に初めてグランドスラムのベスト4に入った思い出の大会だ。持ち味の強烈なフォアハンドが生きる舞台のはずだが、今年の全仏オープン準決勝の姿は思い出しても痛々しい。第1セットでフランチェスカ・スキアボーネとの打ち合いに負けると突然のリタイア。無冠の女王と呼ばれる彼女にとって、心の傷は浅くない。そうした重荷を払拭し、この試合はグランドスラム初制覇の可能性があるか否かを占う一戦になる。対戦成績はデメンティエワの11勝4敗。
大会第5日〜デイセッション
女子シングルス3回戦

(チェコ)
(ベルギー)
解説:坂本 正秀 実況:久保田 光彦
昨年、現役復帰から奇跡の復活優勝を遂げた舞台に戻ってきたクライシュテルス。今年もハードコートは心地のよい“ゆりかご”だ。今季のWTAツアー3勝はすべてハードコート。3月のマイアミで世界ランクトップ10に返り咲き、8月のシンシナティで優勝し3位までランクを上げて乗り込んできた。シンシナティの決勝ではマリア・シャラポワと激突し、2-6、7-6、6-2と鮮やかな逆転勝ち。27歳の年齢ながら、結婚→休養→出産→復帰をたどったベテランには、自分に合ったキャリアを選ぶだけの経験がある。
若手の代表格、クリトバにとって「全米のキム」は挑戦しがいのある相手だ。ここでのプレーが次への自信、飛躍にも結びつく。今年初旬のマイアミで対戦した時は、クライシュテルスに1-6、1-6の完敗。しかし、ウィンブルドンでは格上を次々に撃破してベスト4へ。あの衝撃から、クリトバがどれだけ変わったかには興味がわく。
大会第5日〜デイセッション
男子シングルス2回戦

(イギリス)
(ジャマイカ)
解説:柳 恵誌郎 実況:鍋島 昭茂
第4シードのマレー vs 世界ランク123位とはいっても、世界が注目する一番だ。顔は日本人お馴染みの演歌のジェロ、髪型はレゲエというブラウンはジャマイカ国籍だが、生まれはボリス・ベッカーの出現でテニスブームの真っ只中の84年ドイツという本格派だ。フォアの強打、サーブ・アンド・ボレー、ドロップショットと多彩な攻撃を持ち、ジャマイカ勢としては夢のようなグランドスラム勝利を手にした。今年のウィンブルドンでメジャーデビューを飾った段階で、英国協会から国籍移籍の打診があったほど。
対するマレーは英国期待の星としては複雑な初対決だろうが、ここは邪念を払わなければならない。同じブロックでは第7シードのトマーシュ・ベルディヒが敗退し、初のビッグタイトルの下準備はできている。
大会第5日〜ナイトセッション
女子シングルス3回戦

(ルクセンブルク)
(アメリカ)
解説:神尾 米 実況:木村 季康
ビーナスの先を見越せば、対戦成績4勝7敗と負け越しているフランチェスカ・スキアボーネと準々決勝で当たり、目下4連敗中と分の悪いキム・クライシュテルスと準決勝で激突――。妹セレナの留守を預かる格好のビーナスとすれば、トーナメント序盤は楽をさせてもらっている感じだ。2回戦では予選上がりのレベッカ・マリノを軽く叩いて、迎える3回戦。今度もやはり予選を勝ち抜き、初めてグランドスラム本戦入りを果たしたミネラが相手だ。
ミネラはルクセンブルグ出身の24歳。サーブとフォアハンドを武器に、2回戦では今年のウィンブルドン4強の小柄なツベタナ・ピロンコバを倒したが、“巨人”ビーナスに果たしてどこまで通用するか…?
大会第5日〜ナイトセッション
男子シングルス2回戦

(スペイン)
(ウズベキスタン)
解説:坂本 真一 実況:木村 季康
今年の全仏オープン、そしてウィンブルドンと、ナダルは優勝を手にするまで慎重な上にも慎重を重ね、それは復活への並々ならぬ決意を物語っていた。最後の獲物となる全米でも、1回戦の戦いを見るとその姿勢は変わっていない。
23歳と同世代のイスタミンも、2回戦の相手として油断はできないだろう。今もコーチは母親という変り種で、とにかく粘り強くあきらめない。今年のウィンブルドンでは1回戦、2回戦ともにフルセットの末に勝ち上がり、トマーシュ・ベルディヒとの3回戦も7-6、6-7、7-6、3-6、4-6と、ウィンブルドン3試合で計6度のタイブレークを戦った。
ナダルの通算タイブレーク記録は112-75、今季は15−6ときわめて高い。念願の生涯グランドスラムの勲章を得るには、こうした我慢比べは避けて通れないし、むしろファイナルの舞台に進むためには必要なことだ。なお、対戦成績はナダルの1勝0敗。