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愛’S EYE WOWOWテニス・スペシャルコメンテーターの杉山愛が、 世界を舞台に戦ってきた経験を基に、 試合を分けたポイント分析から、 テニスを通じて得たさまざまな知識・経験まで、 独自の視点を披露する!

杉山愛 オリジナルコラム 【愛'S EYE】

第141回 “杉山愛的”2013年の5大トピックスB

トップ100のテニスを確立した奈良、土居の両選手。ウィンブルドン複4強の青山選手

愛'S EYE

写真:AP/アフロ


 印象的な出来事から2013年を振り返ってきましたが、最後のトピックスとして「日本女子の健闘」を挙げたいと思います。

 ランキング・トップ100に日本選手が4人という現状を見ても、ひとつ上の段階にレベルアップしてきたなという印象です。

 トップ100に入れると入れないでは雲泥の差。100位はグランドスラム本戦にダイレクトで出場できる目安でもあり、だれもが目標とするところです。もちろん、100位に入るだけでなく、その地位にふさわしいテニスを確立する必要があるのですが、土居美咲、奈良くるみの両選手にはそれが備わってきたと感じます。

 土居選手はグランドスラム4大会にすべて本戦ダイレクトで出場しました。奈良選手は全米で予選を勝ち上がり、3回戦進出。テニスの質が上がったことがこの結果に結びついたわけで、大きな自信になったことでしょう。

 安定感という点では、二人とも以前は良いときと悪いときの幅があったのですが、その開きが縮まったと感じます。二人とも小柄で、だからこそ頭も使わなくてはいけないし、体も鍛えなくてはいけないと思うのですが、最近の両選手は、すごく冷静に、スマートに戦っています。自分の持ち味を生かしていて、攻めと守りのバランスがすごくいいなと感じます。

 お互いのライバル意識も、二人には良い刺激になっていると思います。自分では意識しているつもりはなかったとしても、あれだけジュニア時代からライバルとして友人としてやってきた二人ですから、どこかで意識しないわけはないと思うのですが、それがいい感じに作用して、切磋琢磨しています。


 この二人が頑張っていると、次の選手もあとに続きやすいと思います。二人は周りの選手にとって目標にしやすいというか、すごく遠い存在とは思われていない感じがします。石津幸恵選手や、尾崎里紗、穂積絵莉の両選手をはじめとする「94年組」など、年下の選手には二人を目標にしようという流れができていると感じますし、年上の瀬間詠里花選手と瀬間友里加選手の姉妹も、あの二人に負けてはいられないと思っているでしょう。

 青山修子選手のウィンブルドン女子ダブルス・ベスト4もうれしいニュースでしたね。

 彼女はダブルスのランキングが先行したため、ダブルスはWTAツアー、シングルスではITFサーキットと、掛け持ちのような形になってしまいました。本人は、13年初頭の全豪の時にはシングルスでもっと頑張りたいという話もしていましたが、そういうジレンマは私自身、感じたことがあって、ダブルスで絶好調、逆にシングルスはスランプという時期も経験しています。だから、彼女の気持ちはよくわかりました。両方頑張るのは本当に難しいんです。

 それでも青山選手はコツコツ頑張りました。スケジュールを組むのさえ簡単ではなかったと思うのですが、上手にやっていると感じます。WTAにも積極的に参戦し、そこでコンビネーションが合うパートナーを見つけたことも大きかったと思います。

 プレー自体も、前に出る出方、ネットでの動き方など、だれにも真似のできない彼女ならではの動きを見せてくれています。動くタイミングも絶妙だし、思い切りもすごくいいですよね。ウィンブルドンのベスト4だけでなく、ツアー2大会に優勝。立派だったと思います。



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杉山 愛

杉山 愛
生年月日:1975年7月5日
出身:神奈川県
主な戦績:
WTAツアー最高世界ランク シングルス8位 ダブルス1位
国際公式戦勝利数:シングルス492勝 ダブルス566勝
WTAツアー:シングルス優勝回数6回
ダブルス優勝回数38回
公式戦通算試合数:1772試合(シングルスとダブルス)
グランドスラム62大会連続出場のギネス記録を持つ。

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